小学校のiPad算数授業|ADEが提案する「撮る・示す・説明する」45分

iPadで算数ブロックを撮影し、画面の写真を指さして考えを説明する児童と、話を聞く教師のAI生成イラスト
kaorusensei06
ゆとり先生
ゆとり先生

写真は撮れたけれど、計算の仕方を説明するところで止まってしまうんだ。

かおる先生
かおる先生

撮ったあとに聞く問いを、先に決めてみよう。「この1はどこから来た?」なら、写真とブロックを行き来できるね。

「写真は撮れた。でも、何を考えたのかは伝わらない」。iPadの授業を考えるとき、私はまず、撮影したあとに子どもが何を話すのかを決めたいと思っています。きれいな写真を集めても、計算の仕方を説明する時間がなければ、算数の学びを確かめにくいからです。

Apple Distinguished Educator(ADE・2026)としての視点から、今回は1年算数の「9+4」を例に、ブロックの操作を写真に残し、数のまとまりを示しながら説明する授業を提案します。使うのは主に「カメラ」と「写真」。目標、45分の配分、声かけ、端末操作、評価の見方まで、明日の授業を組み立てる形にしました。

iPadで算数ブロックを撮影し、画面の写真を指さして説明する児童と教師のイラスト
iPadの写真を手掛かりに、考えたことを伝える授業のイメージ。AI生成イラストで、実際の授業写真や数の配置を説明する図ではありません。
Google AdSense

このiPad授業で育てたい力|「13」と答えたあとに理由を聞く

本時のねらいは、9+4について、10のまとまりをつくる計算の仕方を、操作や図と結び付けて説明することです。写真に丸を付けられたか、端末を素早く操作できたかは、算数の評価とは分けて考えます。

数の合成・分解、10のまとまり、繰り上がりのある加法に入るための既習を確かめてから使う案です。9+4が本時の課題として合わない場合は、教科書と年間計画に沿って問題を替えます。指導案全体の書き方は、算数の指導案の完成例付きガイドで確認できます。

ADEの視点|iPadで残したいのは、答えへ至るつながり

ブロックは手で動かし、iPadはその配置を残すために使います。動かす前と後の写真があると、「この1は、どこから来た?」と、もとの4へ戻って確かめられます。私なら、画面上の答えを褒める前に、「写真を指しながら、どこを動かしたか教えて」と聞きたいです。

ただし、写真があれば理解できるというわけではありません。子どもが写真と操作を結び付けられるように、手元でもう一度動かす時間を取ります。写真を撮ったあとも、必要なブロックはすぐ片付けずに残します。

授業前の準備|使う機能と残す記録を絞る

準備するもの具体的な用意授業前に試すこと
児童用ブロック、10個を並べる枠、iPad。1人1台でも、2人で1台でも実施できる構成。机の上でブロック全体が写る。撮影のために立ち歩かずに済む。
アプリカメラと写真。基本形では新しいアプリや動画編集は使わない。撮影した写真を開き、マークアップで丸や線を描いて保存できる。
教師用9と4の配置、動かした後の配置、説明が不十分な例を用意。投影できる機器があれば接続を試す。投影なしの場合は拡大図を用意。
記録まずは操作前と操作後の2枚。児童の説明は教師が短くメモする。学校指定の提出先・保存先を確認。個人のクラウドやSNSへ送らない。

本時に必要な操作は、事前の短い練習で扱っておきます。初めてカメラやマークアップを使う学級で、操作練習もこの45分へ詰め込むと、計算を考える時間が減ります。その場合は、教師が撮影し、子どもはブロックや拡大図を指して説明する形から始めます。

机の上のブロックだけが写る位置を決め、名前入りの教材や周囲の顔が入り込んでいないか確認します。共有iPadの場合は、次の使用者に記録が見えることも含め、保存と削除の手順を学校の運用に合わせます。

写真に何を残す?|操作前と操作後をそろえる

動かす前:9 と 4

動かした後:10 と 残り3

青はもとの9、オレンジはもとの4。4のうち1を9へ動かし、10と3にします。色と数の位置を一緒に確かめるための説明図です。

9は10の枠に、4はその横に置きます。まず動かす前を撮り、次に子どもがブロックを動かして、動かした後を撮ります。二つの写真で向きや撮る場所を大きく変えないと、動かした1を追いやすくなります。4を1と3に分けたことが伝わる配置か、写真を見て一緒に確かめます。

写真に印を付けるなら、今回の問いに必要なものに絞ります。例えば、10になったまとまりを囲み、もとの4のうち移した1と残った3を指して説明します。丸を増やして写真を飾るより、「この印は何を見てほしいの?」を聞きます。色に加え、囲みや数字も使い、色だけで区別させないようにします。

45分の授業案|撮影に時間を使いすぎない流れ

時間子どもの活動教師の声かけ・手立て確かめること
導入 5分9+4を見て、これまでの計算との違いを考える。「今までと違うところはどこ?」「9は、あといくつで10?」既習の数のまとまりを使えそうか。
自分で考える 8分9と4をブロックで表し、計算方法を試す。操作前の写真を1枚撮る。「数えてもいいよ。そのあと、まとまりにできるところがあるかな」全部を数える、4を分けるなど、今使っている方法。
記録する 7分操作後を撮り、説明に必要なところへ丸や線を付ける。「どこを動かしたか、写真で見つかる?」「撮れたら説明の準備をしよう」もとの4と、移した1・残り3の対応。操作に困る子には撮影を支援。
2人で説明 10分写真を指し、計算方法を相手に説明する。話す役と聞く役を交代する。聞く役には「この1はどこから来た?」を示す。答えだけで終われば手元へ戻す。9に1を合わせる理由と、残り3が説明できるか。
全体で比べる 8分2つ程度の説明を比べ、10をつくる考えを確かめる。「図は違っても、同じまとまりはどこ?」。写真と黒板の式を対応させる。4を1と3に分け、10と3にするつながり。
別の問題・振り返り 7分8+5で、動かす数と残りを操作で示す。役立った考えを話し、片付ける。「今度はあといくつで10?」「写真なしでも説明できる?」。提出操作は必要な場合だけ。8に2を合わせ、残り3になること。本時の考えを使い直せるか。

写真を開く、役割を交代する、片付ける時間も各場面に含めた提案です。マークアップに時間がかかる学級では、印を付けず、写真を指して話す形へ替えます。全員の作品を投影する必要もありません。比較したい点が見える説明を選び、ほかの子の理解は机間の対話と最後の問題で確かめます。

教師の声かけ|写真を見せた先に、どこを聞くか

想定される反応声かけの提案次に行うこと
「13です」で終わる。「答えは分かったね。13になるまでに、どこを動かした?」操作前・後の写真とブロックを対応させる。
9に4を全部動かす。「10の枠に入るのはいくつ? 入らなかった分はどこに置こうか」9の空いている1か所を確かめ、4を分けて置き直す。
丸は描けたが説明できない。「この丸にはいくつ入っている? もとの9のほかに、何が入った?」丸の中の10と、外の3を指し、もとの数へ戻る。
相手の言葉を繰り返す。「同じ考えでもいいよ。自分の写真の1はどこ?」自分の配置を指して確かめる。説明の新しさを無理に求めない。
写真が撮れず、考える活動が止まる。「ここまでブロックで考えられているね。撮るところは手伝うよ」操作の支援と算数の支援を分ける。理解を端末操作の速さで判断しない。

私なら、「もっと上手に説明して」よりも、「今の写真だと、この1のもとの場所が分からないね。どちらの写真を見せると伝わる?」と返したいです。足りない情報が分かれば、撮り直す、指す、ブロックを戻すなど、子どもが次の動きを選びやすくなります。

iPadの操作手順|写真を撮り、丸や線を付ける

  1. カメラを開き、机の上のブロックがすべて写る位置を決める。写真を撮り、サムネールで確認する。
  2. ブロックを動かしたあと、同じ向きでもう1枚撮る。写真アプリで使う写真を開く。
  3. 写真の編集ボタンからマークアップを開く。ペンで説明に必要な丸や線を描く。
  4. 完了して保存し、写真を指しながら相手に説明する。描画の誤りは消しゴムや取り消しで直す。

マークアップは指でも描画できます。Apple Pencilや新しいアプリの購入を、この授業の条件にはしません。画面上のボタンの位置・形は機種やiPadOSで異なるので、児童端末と同じ環境で事前に試します。機能の確認先は、Apple公式のマークアップの手順とApple Education Communityのカメラ教材です。

操作が不安な学級は、写真1枚と口頭説明から

2枚を行き来することが難しい場合は、操作後の1枚だけで始めます。「10にしたところ」「残っているところ」を指して話し、移した1の出所は実物で示します。写真を使うことで説明がしづらくなる子には、ブロックと教師の記録を使って、同じ算数の内容を確かめます。

説明を残したい場合だけ、短い動画へ広げる

基本形が安定したあと、写真に加えて、手元を指して説明する短い動画を残す方法も考えられます。カメラのビデオで、顔を写さず、ブロックと説明を記録する案です。最初から撮影・編集・提出を全部求めず、例えば「10をつくった理由が伝わる短い説明を1本」に絞ります。動画を使う場合は、声や周囲の映り込み、保存先、見せる範囲も確認します。

Appleクラスルームの使いどころ|授業を進めるための補助

Appleの「クラスルーム」は、Google Classroomとは別のアプリです。学校で利用できる構成が整っている場合、対象のクラスや児童を選んで画面を確認し、必要に応じてアプリを開く操作などに使えます。今回は「写真を開くところで止まっていないか」を確かめ、操作の支援へつなげる使い方を考えます。画面一覧だけでは、算数の理解まで判断できません。

画面確認の基本は、クラスを選び、対象の児童やグループを選び、画面表示のアクションを選ぶ流れです。利用できる操作は、学校のMDM(端末管理)の構成等で異なります。「教師のiPadにアプリを入れれば、すべての端末を必ず操作できる」とは考えず、ICT担当者と事前に試してください。画面を確認する目的と場面も子どもに伝えます。

アプリに固定する機能を使う場合は、カメラから写真へ移る活動を妨げないか確認します。また、対面クラスで端末をロックした場合、解除後に児童のパスコード等の入力が必要になります。短い話合いなら「保存して、iPadを机に置こう」という合図で進める方法もあります。機能は画面表示・ロックの公式手順とアプリ使用状況の管理の公式手順で確認できます。

算数の評価と授業の改善|写真の枚数ではなく説明を見る

おおむね満足できる姿の想定は、「9に1を合わせて10にし、もとの4の残り3を合わせて13になる」と、操作や写真に対応させて説明している状態です。この文と同じ言い方にそろえる必要はありません。短い言葉や指さしで伝えている場合は、「その1はどこから来た?」と補って確認します。

教師のメモは、「4を1と3に分ける理由が説明できた」「10は示せるが、残りの出所を確認する必要がある」など、算数の内容で残します。きれいに線が描けた、動画が長かった、操作が速かったことを、そのまま算数の評価にしません。支援のあとの説明も確かめ、本時の1枚だけで単元全体を判断しないようにします。

授業後に確かめること記録の残し方次の授業で変えること
撮影が説明を助けたか。写真を指して数の出所を説明した場面をメモ。写真が役立たなければ、実物を残す時間を増やす。
操作に時間がかかりすぎなかったか。撮影・編集・提出で止まった場面と、およその時間を記録。印を省く、教師が撮る、提出を授業後にするなどを選ぶ。
別の問題にも考えを使えたか。8+5で、2を動かす理由と残り3を確認。同じ支援が必要なら、数の合成・分解へ戻る。

困ったときの切り替え|機器の復旧だけに授業時間を使わない

困る場面その場の対応あとで確認すること
写真が暗い、ブロックが切れる。机上の撮影位置を一つ決める。教師の例を見せ、必要な範囲だけ撮る。児童が安定して扱える配置やケースの角度。
撮影やマークアップが使えない。実物と紙の図で説明する。設定を児童に解除させない。学校のアプリ・権限・MDMの設定をICT担当者へ相談。
クラスルームに端末が表示されない。机間で見て支援し、本時は接続復旧にこだわらない。クラス構成、ネットワーク、対応環境等を担当者と確認。
全体共有の投影・提出ができない。2人で端末を見せ合う。全体には実物や拡大図を示す。接続と学校指定の提出手順を授業外で試す。

付録|授業前チェックと、そのまま使える説明の型

  1. 本時の目標は、10のまとまりをつくる計算方法の説明になっている。
  2. 数の合成・分解など、本時に必要な既習を確かめた。
  3. 児童端末で撮影・写真の表示・必要な描画を試した。
  4. 写真は原則2枚に絞り、操作に時間がかかる場合の1枚案も用意した。
  5. ブロックを写す場所と、保存・共有の範囲を決めた。
  6. 投影や接続ができない場合の実物・紙の方法を用意した。
  7. 8+5で、同じ考えを使い直す場面を確保した。

子どもの説明の型:
「9は、あと[ ]で10です。4を[ ]と[ ]に分けます。9と[ ]で10。10と残りの[ ]で[ ]です」

聞く子の問い:
「その1は、もとはどこにあった?」「残りの3は、どのところ?」

この型は、説明に困ったときの手掛かりです。全員に同じ文章を暗唱させるのではなく、自分のブロックや写真を指して意味を確かめます。型を読めても、数の出所が示せなければ、もう一度手元の操作へ戻ります。

明日の授業では、まず「撮影したあとに何を聞くか」を一つ決めてみてください。私なら「この1は、どこから来た?」から始めます。その問いに戻れる写真を残せれば、撮影した記録が、計算方法を話すための材料になります。

参考資料と、次に読む記事

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
Google AdSense
ABOUT ME
かおる先生
かおる先生
小学校教諭
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。 「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。
Google AdSense
記事URLをコピーしました