iPadフリーボードのフローチャート授業|小1・小2の5時間指導案
朝の準備で、ランドセルと棚を何度も行き来している。休み時間には楽しく遊べたのに、次の授業の準備で慌てる。そんな毎日の場面を、iPadのフリーボードで一度、目に見える形にしてみませんか。私なら「もっと速くしよう」と言う前に、「どこで困る?」「どうなったら、朝が過ごしやすい?」と聞くところから始めたいです。
Apple Distinguished Educator(ADE・2026)として、ここで提案するのは、1・2年生が自分の生活を図にし、実際に試して直す全5時間の授業です。フローチャートの記号を覚えることだけをゴールにせず、自分で見つけた問いを確かめるために、順次・反復・分岐の考え方を使います。
- 小1・小2のフリーボード授業|5時間で何を学ぶ?
- 探究の出発点は「何をよくしたい?」という問い
- 順次・反復・分岐を、低学年の言葉にする
- フリーボードを使う理由|消して作り直すより、動かして比べる
- 単元指導計画|図を作る前と後に、考える時間を置く
- 第1時の展開|「言われたことだけをする先生」を動かす
- フリーボードの操作は、この四つから
- 1年生の例|朝の準備から反復を見つける
- 2年生の例|休み時間の条件で分岐を考える
- 生活の経験を「統合的な理解」と「総合的な発揮」につなぐ
- 評価は、図の見た目より「問い・理由・試した結果」
- 付録|コピーして使える問い・振り返り・指導観
- 部会で伝えるなら|この授業の軸は「自分の生活に返すこと」
- 関連記事・公式資料
小1・小2のフリーボード授業|5時間で何を学ぶ?
| 項目 | この単元の案 |
|---|---|
| 単元名 | フリーボードで「じゅんばん」を考える |
| 対象・時数 | 1・2年生/全5時間。以下は1時間45分の配分例。40分授業等では調整する。 |
| 題材 | 1年生:学校に来てからの朝の準備。2年生:休み時間の過ごし方。 |
| 目標 | 自分の生活から見直したいことを見つけ、行動を図に表し、試した結果をもとに自分に合う手順を考え直す。 |
| 使うもの | iPadのフリーボード、紙の行動カード、教室の時計または終わりの合図、試したことの記録。 |
| 提出するもの | はじめの図、直した図、変えた理由、試して分かったこと。 |
探究の出発点は「何をよくしたい?」という問い
先生の共通課題は「毎日の行動を並べて、見直そう」です。その中で、子どもが自分の問いを見つけます。朝の準備を全員同じ順番にする授業にしてしまうと、図はできても、本人が考える余地が小さくなります。「何が困るか」から一緒に考え、本人が試したいことを一つ選ぶ形にしたいです。
| 学年 | 困りごとの想定 | 子どもと作る問い | 確かめる手掛かり |
|---|---|---|---|
| 1年 | 同じ棚へ何度も戻る | 棚に何度も戻らずに、準備できるかな? | 図を指でたどる。翌朝、戻った場面と忘れた物がないかを記録する。 |
| 1年 | 何をするか途中で分からなくなる | 次にすることが分かる図にできるかな? | 図を見て、自分で次の行動を選べた場面を確かめる。 |
| 2年 | 雨で外に出られないと迷う | 外で遊べない時も、自分で次を決められるかな? | 雨の日の条件で図をたどり、別の行動を選べるか説明する。 |
| 2年 | 遊びの終わりに慌てる | 楽しく遊び、次の授業にも間に合うには? | 終わりの合図、片付け、教室へ戻る順番を試す。 |
「探究には問いがない」と説明するより、「初めから全員の問いが決まっているわけではなく、経験の中から問いを見つけ、具体化する」と整理すると意図が伝わります。教科学習でも問いを作る活動はあります。教科と探究を、問いの有無だけで分ける必要はありません。低学年では、選択肢や教師との対話を使って問いをつくってもよいと考えます。
順次・反復・分岐を、低学年の言葉にする
| 教師が捉える考え方 | 子どもに伝える言葉 | 授業で使う例 |
|---|---|---|
| 順次 | 「ひとつずつ、順番に」 | かばんを開ける→持ち物を出す→必要な場所へしまう。 |
| 反復 | 「残っていたら、もう一度」 | しまうものが残っている?→残っていれば一つしまい、もう一度確かめる。残っていなければ次へ進む。 |
| 分岐 | 「もしそうなら、こっち。そうでなければ、あっち」 | 外で遊んでよい?→はいなら外、いいえなら教室でできる遊びを選ぶ。 |
毎朝同じ準備をすることと、図の中で同じ手順を繰り返すことは区別して扱います。「毎日だから反復」で止めず、同じ動作へ戻る矢印と、繰り返しが終わる条件を一緒に確かめます。分岐も「早く終わったら読む」だけではなく、終わっていない時は何をするかまで示します。全員に三つの構造を一度に使わせず、まず説明できる一つから始めます。
フリーボードを使う理由|消して作り直すより、動かして比べる
紙のカードでも順番は考えられます。フリーボードを使う意味は、並べ替えた図を残し、前の考えと比べながら説明するところに置きます。「昨日はこの順番。今日はここを変えた」と示せると、変更した理由を聞きやすくなります。文字の入力が難しい子は、絵や短い手書き、教師への口頭説明を組み合わせます。
Appleの案内には、図形・線・矢印の追加、コネクタを使った関連図、手書きの機能が示されています。この案では基本操作を中心に使い、追加の生成機能や共同編集を前提にしません。フリーボードの図は、この授業では人がたどって試す手順図です。作っただけでiPadが行動を実行するプログラムにはなりません。
単元指導計画|図を作る前と後に、考える時間を置く
| 時 | 45分の配分例 | 主な活動と声かけ | 残すもの |
|---|---|---|---|
| 1 | 導入5/試す15/言い直す15/共有10 | 先生に伝える手順を試す。「何を、どこへ、どの順番で?」と具体化する。 | 手順カード、言い直した言葉。 |
| 2 | 問いを選ぶ8/操作8/図づくり22/共有7 | 自分の生活を思い出し、問いを一つ選ぶ。「準備する」を具体的な行動に分ける。 | 自分の問い、はじめの図。 |
| 3 | 結果共有8/反復の確認10/修正20/次の試し方7 | 第2時後に試した記録を見て並べ直す。「何が残っている?全部終わったら?」を加える。 | 直した図、変えた理由。 |
| 4 | 条件を比べる8/見本7/分岐づくり20/ペアで試す10 | 雨の日、準備が終わった時等の条件を加える。「反対の時はどこへ進む?」と図をたどる。 | はい・いいえの行き先が分かる図。 |
| 5 | 結果共有8/見せ合い15/最終修正12/振り返り10 | 実際に試した結果を、問いと照らして説明する。「何がよくなった?まだ困るのは?」と次を考える。 | はじめと最後の図、試した結果、次の問い。 |
第1時の展開|「言われたことだけをする先生」を動かす
「先生は、言われたことだけをする役です。思った動きになるよう、一緒に言葉を直そう」と先に約束します。子どもを困らせるための意地悪にはせず、同じ言葉でも、何を指しているかが分からない場合があることを安全に確かめます。走る、目を閉じて移動する、熱い物を扱うなどの指示は扱いません。
| 時間 | 子どもの活動 | 教師の支援・声かけ | 見取ること |
|---|---|---|---|
| 5分 | 机上の筆箱と鉛筆を見て、先生への指示を考える。 | 「鉛筆を筆箱に入れるには、最初に何をする?」 | 題材と目的が分かっているか。 |
| 15分 | 指示を出し、先生の動きを見る。 | 「鉛筆を入れて」だけなら、どこへ入れるかを尋ねる。閉じた筆箱には入れず、「今、できる?」と見せる。 | 順番や伝える内容によって結果が変わると気付くか。 |
| 15分 | 「筆箱を開ける→鉛筆を持つ→筆箱に入れる→閉じる」をカードで並べ、もう一度試す。 | 「先に開けたら、何が変わった?」「一枚に二つ入っている動きは分けられる?」 | 目的に照らして言い直す理由があるか。 |
| 10分 | 気付きを共有し、次時の生活の問いにつなげる。 | 「自分の朝にも、順番で困るところはある?」 | 生活の中の見直したい場面を挙げるか。 |
曖昧な指示も、次の試し方を考える材料です。「ちゃんと言って」ではなく、「何を持つ?」「どこへ置く?」と必要な情報を一つずつ聞きます。言葉での説明が負担になる場合は、カードを指して伝える方法も認めます。
フリーボードの操作は、この四つから
| 操作 | 教師が先に見せること | つまずいた時 |
|---|---|---|
| 図形を置く | 新しいボードを作り、図形追加から四角を選ぶ。短い行動の言葉を入れる。 | 図形は教師が用意し、子どもは並べ替えから始める。 |
| 順番を変える | 図形を選択して動かす。空いている場所を動かす時との違いを示す。 | 一つだけ選べているか、表示の大きさが適切かを確かめる。 |
| つなぐ | コネクタを表示し、図形間を結ぶ。単なる線なら矢じりを付け、進む向きを確認する。 | 教師がコネクタを実演する。難しければ手書き矢印で目的を満たす。 |
| 残して比べる | 修正前後の図を記録する。PDFは学校が認める保存先へ書き出す。 | 提出経路が使えない時は、教師が画面と本人の説明を確認する。 |
具体的なメニュー位置はiPadOSにより異なります。現在のAppleガイドでは「コネクタを表示」や「接続線を追加」が案内されています。授業前に児童用端末で実際に試し、同じ画面の操作見本を作ってください。コピーのリンク送信にはApple AccountやiCloud等の条件があります。今回は、その機能を使わなくても進められる計画です。共有や保存は学校のアカウント・端末管理の方針に合わせます。
1年生の例|朝の準備から反復を見つける

「一つしまったら、おしまい?」と聞くと、子どもは残っている物へ目を向けられます。「残っていたらここへ戻る。なくなったら次へ行く」と指でたどり、終わりの条件を確認します。実際の準備の順序には、その子に合う方法があります。忘れ物がないこと、落ち着いて進められること、学校の約束を守れることを優先し、速さを競わせません。
2年生の例|休み時間の条件で分岐を考える

「雨だから室内」と先生が決めて終わるより、「外へ出てよいか、何を見れば分かる?」と条件を確かめます。途中で雨が降ったらどうするかは発展の問いとして扱い、安全の指示を優先します。「早く終わったら何をする?」を使う場合も、読書など学校で認める選択肢から本人が選びます。
生活の経験を「統合的な理解」と「総合的な発揮」につなぐ
文部科学省の論点整理ポイント資料の7ページは、個別の知識・技能と思考・判断・表現を、内容のまとまりの中で関連付けて示す構造化の例です。ここでは、経験を思い出すだけで統合的な理解が完成したとはせず、複数の行動に共通する順序や条件を見つけ、別の生活場面でも使うところを目指します。以下は、その考え方を本授業へ当てはめた本ブログの整理です。改訂の確定要件や公式に認定された授業とは区別します。
| つながり | この授業での具体化 | 確かめたい姿 |
|---|---|---|
| 生活の経験・個別の知識 | かばんを開けてから物を出す、雨の日は外で遊べない等を思い出す。 | 実際の行動を説明できる。 |
| 統合的な理解を目指す | 複数の行動から「前にしておく必要があること」「条件で変わること」という共通点を捉える。 | 朝の準備以外の例でも順番や条件を説明する。 |
| 総合的な発揮を目指す | 自分の問いに合わせて図、時間の手掛かり、学校の約束を組み合わせ、生活で試して修正する。 | 変更した理由と試した結果を結び付け、次の方法を選ぶ。 |
1年生は学校での学習経験がまだ少なくても、生活の中に考える材料があります。その経験を出発点にし、図を使って比べ、「自分は何を変えたのか」を説明する。私は、日常生活にも探究の入り口があると感じられる授業にしたいです。
評価は、図の見た目より「問い・理由・試した結果」
| 観点の案 | 見取る姿 | 記録・支援 |
|---|---|---|
| 知識・技能 | 順序、繰り返しの終わり、条件の行き先を、図や実際の動きで説明する。図形と矢印等で手順を表す。 | 図を指でたどる説明を聞く。操作の援助を受けても、考えの理解は別に見る。 |
| 思考・判断・表現 | 自分の問いに合う変更を選び、変更理由と試した結果を図・言葉・動きで伝える。 | はじめと修正後の図、本人の説明、生活場面の記録を合わせる。 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | うまくいかなかった場面や友達の考えを手掛かりに、自分の方法を見直そうとする。 | 修正回数、速さ、発表の多さだけで判断しない。対話や継続した観察も使う。 |
時計を読めることを、この単元の参加条件にしません。「長い針がここ」「この合図で片付ける」など、学級に合う手掛かりを用意します。休む時間、気持ちを切り替える時間、支援を受ける時間を「無駄」と扱わず、本人が安心して生活できる方法を一緒に探します。
付録|コピーして使える問い・振り返り・指導観
いま こまるのは:【場面】。
ためすこと:【変えるところを一つ】。
ためす ばめん:【いつ・どこで】。
たしかめること:【忘れた物/戻った場面/次を選べたか等】。
やってみて:【分かったこと】。
つぎは:【残った問い・もう一度試すこと】。
完成例の問い:「どうしたら、棚に何度も戻らずに準備できるかな」。試すこと:「先に出す物を机にそろえる」。確かめること:「戻る場面と、しまい忘れがないか」。結果は空欄にしておき、実際に試した後で書きます。想定の成功を先に入れません。
部会で伝えるなら|この授業の軸は「自分の生活に返すこと」
「操作を覚えて図を完成させるだけでなく、子どもが自分の生活から問いを見つけ、図にして試し、結果をもとに直す単元にしたいです。日常の経験を順序・反復・条件という見方で整理し、その見方を別の場面でも使えるようにします。見取りたいのは、本人が変更した理由と、実際に試した結果を結び付けて話せる姿です。」この説明を土台に、学級の実態と記録を持ち寄ると、方法だけでなく学びの中身を話し合えます。
関連記事・公式資料
- 初任者向け・算数指導案の書き方と完成例
- 国語指導案の書き方と縦書き板書
- iPadで「撮る・示す・説明する」算数授業
- Apple:図形・線・矢印を追加する
- Apple:図表・コネクタを使う
- Apple:コピーまたはPDFを送信する
- 文部科学省:論点整理ポイント資料(詳細版)6・7ページ




