「何をすればいいですか?」を減らす|若手教師の指示出しテンプレート7場面
明日の授業で一つ変えるなら、活動を伝えるときに「終わったら何をするか」まで用意してみませんか。
「プリントをやってね」と伝えた後で、「全部ですか?」「終わったらどうしますか?」「どこに出しますか?」と聞かれる。一人に説明しているうちに、別の子の手も止まっている。担任を始めたばかりの頃は、こんなやり取りだけで慌ただしくなりがちです。
この記事では、授業でよく使う指示を7場面に分けて用意しました。使いたい場面の例文を一つ選び、ページや時間を入れ替えて使えます。黒板に残すひな形もあるので、ICTが得意でなくても始められます。
この記事で持ち帰れるもの
- 作業開始・早く終わったとき・ペア活動など、7場面の言い方。
- 黒板や提示画面に写せる「やること・終わったら・困ったら」のひな形。
- 自分の授業に合わせて指示を作り替えるAIへの入力例。
小学校を想定した提案例です。例文は想定場面であり、実践済みの成果を示すものではありません。学年や子どもの理解に合わせて、短くしたり図にしたりしてください。

ゆとり先生
明日の授業全部を変えなくても大丈夫。まずは、一番よく聞き返されるところを一つ、見える形にしておこう。
明日の授業用に、3行だけ書き換える
次の空欄を文書アプリや提示用スライドへコピーして使います。黒板に書く場合も、同じ順序にすると子どもが見返しやすくなります。
欄内を選択してコピーします。PCは全選択してコピー、スマホは長押しで選択できます。印刷する場合は文書アプリへ貼り付けて使ってください。
授業前の3点確認
□ 最初にすることが一つ分かるか
□ 言葉だけでは難しいところに、見本や図を用意したか
□ 困ったときに子どもが助けを求められるか
1年生など、一度に3行が難しいときは「やること」だけから始めます。具体的な完成例と7場面の言い方は、この下で確認できます。
別の困り事も準備する
保護者返信のひな形を使う / 所見の準備シートを使う
最初に使うのは、この3行
やること:算数プリントの①〜③ 終わったら:答えを見直して、③の考え方を図にする 困ったら:止まった問題に印を付けて、先生に合図する
活動中に子どもが見返すための表示です。読み上げる説明を全部書く必要はありません。まず、最初の行動を短く伝えます。終わったときや困ったときの動きも、必要に応じて示します。
文字が多いと使いにくい学級では、①の問題を指す、図の見本を見せる、合図を実演するなど、言葉と動きを組み合わせます。1年生なら「はじめにすること」だけを示し、できたら次の一つを伝える形でも構いません。
1.作業を始めるとき:範囲と最初の一歩を伝える
「プリントをやりましょう」だけでは、どこから始めるかを子どもが判断することになります。取り組む場所を見せ、始めの一つを具体的に伝えます。
「プリントの名前を書くところを指で押さえてね。最初に名前を書きます。」
名前を書けたことを確かめてから、「次は①〜③です。①から始めよう」と伝えます。
見本のプリントにも①〜③を示しておくと、聞き逃した子が確かめられます。活動に入れない子には「①の最初の数字を一緒に読もう」と、始める場所をさらに小さくします。
2.早く終わったとき:次の活動を先に決める
「終わった人は静かに待っていて」だけでは、何をして待つかが分かりにくいことがあります。その時間の学習につながる活動を、一つ用意します。
「①〜③が終わったら、もう一度答えを確かめます。その後で、③をどう考えたか図にしてみよう。図ができたら、どこを見ると分かりやすいかも考えてね。」
追加の問題数を増やす以外にも、図で表す、別の解き方を探す、説明する順番を考えるなどの選択肢があります。元の課題を進めている子が「終わっていないから参加できない」と感じるような、特別なごほうびにはしないようにします。
計算練習を用意する場合
既習範囲の練習を予定している時間なら、百ます計算ラボで問題を用意する方法もあります。「今日は何を練習するか」を先生が決めてから使いましょう。授業で考えを深める時間と、計算に慣れる時間を分けて計画します。
3.ペアで話すとき:話題・順番・聞き手の仕事を伝える
「隣の人と話して」では、話題を探している間に時間が過ぎることがあります。話すことと、聞くときにすることを決めます。
「窓側の人から、自分が選んだ答えと、その理由を話します。聞く人は、同じところか違うところを一つ見つけてね。合図があったら交代します。」
黒板には「答え→理由」「聞く人:同じ・違うを見つける」と短く残します。声に出して話すことが難しい子には、ノートを見せる、理由に線を引くなど、別の伝え方も用意します。
4.提出するとき:出す場所と、出した後を見せる
「できたら出して」には、提出先や提出するタイミングなど、いくつもの判断が含まれています。提出物の置き方まで見本にすると説明しやすくなります。
「名前を確かめたら、前の青い箱に、書いた面を上にして入れます。出したら席に戻って、次の時間の教科書を出しておこう。」
箱の色だけでなく「さんすう」と書いた札や見本も付けておきます。一斉に移動すると混み合う場合は、列ごとに出すなど、教室の動線に合わせて変えます。
5.端末を使うとき:操作の区切りと困ったときの合図を決める
操作を次々に説明すると、途中で画面が違ってしまった子を見つけにくくなります。全員に一度に長い手順を伝えず、確認する場所を決めます。
「端末を開いて、先生が示した学習ページを出します。同じ画面になったら、そのまま待っていてね。違う画面が出たら、操作を止めて手を挙げよう。」
見本の画面を提示し、ここまでできたかを確かめてから次の操作へ進みます。うまく表示できない子がいても活動に参加できるよう、同じ問題の紙や、先生の画面で取り組む方法を用意しておきます。
6.片付けるとき:終わった状態を一つ見せる
「きれいにして」よりも、何がどこにある状態なのかを示します。片付いた机の写真や実物を一つ見せる方法もあります。
「机の上に残すのは、次の時間の教科書と筆箱です。はさみとのりは道具箱に戻そう。できたら、机の下に落とした物がないか見てね。」
片付けに時間がかかる子には、しまう物を一つずつ示します。ほかの子との速さ比べにせず、「はさみは戻せたね。次はのりだね」と進んだところを確かめます。
7.分からなくなったとき:相談の仕方を用意する
「分からなかったら聞いてね」と伝えても、何を言えばよいか迷う子がいます。止まった場所を示すだけでも相談できるようにします。
「どこで止まったか、指で押さえて教えてね。『この言葉が分からない』『やり方をもう一度見たい』でも大丈夫。言葉にしにくかったら、問題を見せてね。」
全体への説明が終わったら、手が止まっている子の様子を見ます。聞き返しが多いときは、範囲、言葉、見本、課題そのものの難しさなど、どこで困っているかを確かめます。質問できたことも、学習を進めるための大切な行動として受け止めます。
ICTで一歩進めるなら「表示を使い回す」
上の3行を、毎回同じ位置に置いた提示画面にしてみます。新しい機能を増やすより、子どもがいつも同じ場所を見れば分かる形を作るところから始められます。
| 表示するもの | 入れ替える内容の例 | 準備するときの確認 |
|---|---|---|
| やること | 教科書の42ページ、①〜③ | 見本にも同じ範囲を示す。 |
| 終わったら | ③の考え方を図にする | 本時の学習につながっているか。 |
| 困ったら | 止まった問題を示して合図 | 先生がどう応じるかも決める。 |
文字を大きくし、色だけに頼らず「やること」などの見出しを付けます。実際の教室の後ろから読めるかを確かめてください。端末を閉じる活動では、同じ内容を黒板や紙にも残しておきます。
子ども自身が手順を考え、試して直す授業へ広げたい場合は、朝の準備を図にして見直す、フリーボードの授業案も参考にしてください。
自分の授業用に言い換えるAIへの入力例
学校で利用を認められた生成AIがある場合に使える、下書き用の文章です。児童の名前や個別の事情を入れず、活動の条件だけを書きます。
小学校2年生に伝える活動の指示案を作ってください。 活動:算数プリントの①〜③を、一人で解く。 最初にすること:名前を書く。 終わった後:答えを見直し、③の考え方を図にする。 困ったとき:止まった問題を指して、先生に合図する。 次の3つを出してください。 1.最初の行動を伝える短い発話。 2.活動中に黒板へ残す「やること・終わったら・困ったら」の3行。 3.子どもに分かりにくそうな言葉と、その言い換え。 最初の発話に、すべての手順を詰め込まないでください。 実施していない成果や、効果の保証は書かないでください。 不足する条件は勝手に補わず、確認事項として示してください。
出力例は、「最初に名前を書きます。名前を書く場所を指で押さえてね」といった短い発話と、冒頭のような3行の表示です。AIが課題や提出先を勝手に加えていないか、使う教材と一致しているか、実際に声に出して無理なく伝えられるかを確認してから使います。
明日は一場面だけ変えて、子どもの様子を見る
7つ全部を取り入れる必要はありません。「終わったら何をする?」が多いなら、終わった後の活動だけを黒板に残してみます。授業後には、子どもがその表示を見て動けたか、どんな質問が残ったかを一つメモします。
今日変えたこと: 子どもが自分で確かめられた場面: まだ迷っていたこと: 次に直すところ:
目指すのは、子どもが自分で学習を進められることです。聞き返しが必要な子には説明を重ねながら、先生の言葉、見本、課題の量を少しずつ調整していきましょう。

かおる先生
「もう言ったよ」で終わらせず、どこで迷ったかを一緒に見つけよう。そのメモが、次の授業の準備に使えるね。









