kaorusensei06
1. 概要と基本概念
Canvaの「一括作成(Bulk Create)」機能は、スプレッドシートなどの表データを活用して、同じフォーマットやテンプレートをもとに、複数のデザインを効率的に生成できる機能です。
特に、名刺・バナー・Instagramのフィード投稿・賞状・年賀状など、多数のバリエーションが求められる場面で威力を発揮します。
主な用途
- 「名前、メールアドレス、役職」などのデータから名刺画像を一括作成
- 「商品名、価格、商品画像」などの商品情報からバナー画像を一括作成
- クラス全員分の賞状や名札を一括作成
- 個別メッセージ付きのDMや年賀状の差し込み印刷
対応データ形式
.XLSX
、.CSV
、.TSV
形式に対応。
- 一般的には、GoogleスプレッドシートまたはExcelでデータを作成し、CSV形式でダウンロードします。
利用条件
- Canva Pro、Teams、Education、NPOプランなどの有料プランでのみ利用可能。無料版では使用できません。
2. Canva一括作成の具体的な使い方
2.1 テキストデータを用いた一括作成手順
- デザインテンプレートを用意
一括作成したいデザイン(名刺や年賀状など)のテンプレートをCanvaで作成または選択します。
テキスト差し替えが必要な箇所は、あらかじめ意識しておくと後の作業がスムーズです。
- CSVデータを準備
GoogleスプレッドシートやExcelで、名前・住所・メッセージなどのデータを入力。
1行目には必ず「データ名(ヘッダー)」を入力してください。これがないと正しく動作しません。
Googleスプレッドシートの場合:
ファイル
> ダウンロード
> カンマ区切り形式(.csv)
を選択。
例:年賀状の宛名印刷では、郵便番号のハイフン削除・住所の漢数字変換・宛名への「様」追加などの整形を事前に行うと良いです。
- データのアップロードと接続
- Canvaの左メニューで「アプリ」→「一括作成」を検索し、起動します。
- 「データをアップロード」からCSVファイルを読み込みます(手動入力も可能ですが、大量データの場合はアップロード推奨)。
- Canva上のテキスト要素を選択し、右クリックまたは「…」メニューから「データの接続」を選択。
- 接続するデータ名(CSVの1行目)を指定し、該当のテキストと紐付けます。接続済みのテキストには紫色のハイライトが表示されます。
- デザインの生成と出力
- すべてのデータ接続が完了したら「続行」をクリックし、プレビューを確認。
- 「◯点のデザインを作成」をクリックすると、データに応じた複数のデザインが瞬時に生成されます。
- 生成後、必要に応じて個別調整が可能。
- ダウンロードは「共有」>「ダウンロード」から。印刷用には「PDF(印刷)」形式を推奨。Canva Proの場合はCMYKカラーでの出力が可能です。
2.2 画像データを用いた一括作成手順
- フレーム素材を使用
一括で画像を差し込みたい部分には、「フレーム」素材を配置してください。
Canvaの素材検索で「フレーム」と検索すると表示されます。
- 画像データを入力
- 「データを手動で入力」を選択し、「画像を追加」で画像列を追加。
- 各セルに画像をアップロード(事前に「プロジェクト」などにまとめておくと便利です)。
- CSVを使用する場合は、画像ファイルのURLをデータに含める必要があります(※ただし、現時点ではCSVからの画像挿入は限定的です)。
- データ接続
- フレーム素材を選択し、「データの接続」から画像列と紐付けます。
- テキスト要素も同様にデータ接続を行います。
- デザインの生成と出力
「◯点のデザインを作成」をクリックすると、画像とテキストが差し込まれた複数のデザインが生成されます。
3. 一括作成機能の活用ポイントと注意点
3.1 活用できる場面
- 名刺、バナー、賞状、招待状、年賀状など、テンプレートは共通で内容のみ異なる場合
- 商品サムネイル、YouTubeサムネイル、Instagram投稿など、フォーマットが決まっているコンテンツ
- チームでの作業において、デザインとライティングを分業し、効率化を図るケース
3.2 注意点
- ヘッダー行(データ名の行)は必須です。
- 不要な画像は事前に削除してください。一括作成の対象になる可能性があります。
- 「データを手動で入力」は日本語入力が不安定な場合があります。大量のデータではアップロードを推奨。
- 長文データでは、ページごとにレイアウト調整が必要な場合があります。
- 非常に大量のデータ(例:1000件以上)については、動作の安定性が未検証です。
Canvaで作成したデザインを印刷する際の注意点
- 画像解像度
画面上では綺麗に見えても、印刷では粗くなることがあります。高画質(300dpi程度)を保つには、ピクセル単位ではなく、実寸(mm単位)でデザインを作成してください。Canva Proのリサイズ機能も有効です。
- 保存形式
「PDF(印刷)」形式で保存することが重要です。300dpi以上の画質を保持できるのはこの形式のみです。
- PDFのフラット化
文字化けを防ぐため、「PDFのフラット化」にチェックを入れると良いですが、編集ができなくなるため用途に応じて選択してください。
- カラーモード
印刷用にはCMYKが適しています。Canva Proでのみカラーモードの変更が可能です。RGBのまま印刷すると、色味が暗くなる可能性があります。
- 塗りたし・トリムマーク
フチなし印刷や裁断を前提とする場合、「塗りたし」や「トリムマーク(トンボ)」の設定が必要です。Canvaの基本機能では不十分なことがあるため、印刷会社のガイドに従うか、プロのデザイナーに相談するのが確実です。
ABOUT ME
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。
「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。