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【ADS認定への道】Apple Distinguished Schoolになるには?要件・基準・準備のすべて

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Apple Distinguished School(ADS)という言葉を聞いたことはありますか?これは、Apple社が、学習、指導、そして学校環境において継続的なイノベーションを推進している学校として認定するプログラムです。ADSは、単にApple製品を導入しているだけでなく、それらを活用して教育の質を高め、生徒の多様な能力を引き出し、教職員が共に学び続ける革新的な学校文化を築いていることを評価するものです。

前回の記事では、ADS認定が日本のICT教育にもたらす役割について解説しました。今回は、このADS認定を取得するためには具体的にどのような要件を満たすべきか、その基準と申請の第一歩について詳しく見ていきましょう。

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ADS認定の資格条件と選考のポイント

ADSは、特定の教育機関を対象とした招待制のプログラムであり、認定はApple社が行います。認定の取得を目指すには、学校全体で以下の主要な条件を満たす必要があります。

1. 1人1台の体制の確立と革新的な活用

生徒と教師がiPadまたはMacを主要な学習用デバイスまたは指導用デバイスとして、学校全体で2年度以上使用していることが求められます。これは、単にデバイスを配備しているだけでなく、Appleのアプリケーションやデジタルリソースをカリキュラムにしっかりと組み込み、新しい学びの機会を創出していることが必須となります。

2. 教職員の高度な熟達と継続的なイノベーション文化

ADS認定校は、教職員の高度なICTスキルを強く求めています。

  • Apple Teacher認定: 小中高等学校の場合、教職員の75%以上がApple Teacherに認定されていることが必須条件となります。Apple Teacherは、Apple製品を日々の授業や自身のスキルアップに取り入れている教師をサポートする無料のラーニングプログラムです。
  • 継続的なイノベーションを起こすリーダーシップチームの存在: リーダーや教職員、コミュニティがテクノロジーを最大限に活用した環境で、理想の学びをサポートする明確なビジョンを持ち、絶え間なくイノベーションを続ける文化を実践していることも条件となります。

3. 成果の記録とデータに基づく振り返り

ADS認定校は、テクノロジー活用の成果をデータに基づいて記録し、評価する文化を築いています。

  • データに基づく振り返り: 既存の評価基準や校内調査など、確立された継続的な調査活動からデータを得て、学校のテクノロジー活用に関する達成度や成果を測り、次のステップにつなげていることが求められます。
  • プロフェッショナルラーニングの成果: 指導方法や教職員の自己研鑽の成果を複数の評価指標を用いて明らかにしていることも重要です。

選考のポイント

Appleは、これらの条件に加え、以下の3つのポイントを選考の基準としています。

  • ビジョン: 学校管理職であるリーダーが、テクノロジーの活用で目指す学びのあり方を明確にし、学校全体のビジョンとして掲げ、それに基づいて学校を運営していること。
  • 学習: 生徒と教師が、Appleのテクノロジーを活用して、「つながり、協働、クリエイティビティ、パーソナル」という特徴を持った革新的な学びをデザインし、取り組んでいること。
  • 成果: 学習と指導、学校のビジョンの達成度を示す、データに基づく振り返りが実践されていること。

ADS認定を目指すための具体的なステップ

ADSプログラムは招待制ですが、要件と資格を満たす国公立または私立学校が対象となります。認定を目指す上で、学校が取り組むべき具体的なステップを見ていきましょう。

ステップ1:学校のビジョンを明確にする

ICT教育は、少数の教員が旗振り役となるのではなく、教職員全員で取り組むべき課題です。まずは、学校全体で「何を目指すべきか」を議論し、明確なビジョンと理想を設定することが重要です。

ステップ2:Apple Teacherの認定取得の輪を広げる

教職員全体のApple製品熟達度を高めることが必須条件となります。学校内でApple Teacherの認定取得を奨励し、互いに学び合う文化を醸成しましょう。

ステップ3:Apple製品の革新的な活用を実践する

Appleのアプリケーションやデジタルリソースをカリキュラムに組み込み、生徒の創造性や協働力を引き出す教育プログラムを確立しましょう。東京成徳大学中学・高等学校の事例のように、教師が細かく指示しなくても生徒が自主的にツールを使いこなせるように育成することが重要です。

ステップ4:成果を記録し、振り返る文化を築く

テクノロジーの活用が、生徒の学習にどのような良い影響を与えたかを、データに基づいて記録・分析する文化を築きましょう。このプロセス自体が、より良い教育を創造する機会となります。

申請と認定のプロセス

ADSプログラムの申請内容は、電子書籍作成ツールである「iBooks Author」を使い、マルチタッチブックの形でまとめて提出する必要があるとされています。

申請に関する詳細な情報については、Appleの教育部門(je_inquiry@apple.com)に直接問い合わせるよう案内されています。

認定は3年間有効で、期間内に更新することができます。認定更新の際には、常により良い学習環境を構築するための取り組みが進化し、アップデートされていることが審査されます。

まとめ:ADSは「教育の質」を高めるため

Apple Distinguished Schoolの認定は、学校が質の高い教育を提供していることの証明であり、他の教育機関にとっての羅針盤となります。

ADS認定校は、単にApple製品を導入しているだけでなく、それらを活用した革新的な教育プログラムを開発・実践し、その成果を他の教育機関と共有することで、日本のICT教育全体の質の向上に貢献する重要な役割を担っています。

ADSの応募プロセス自体が、学校の教育を再考し、教師や生徒たちの成果を称える良い機会となります。この記事が、あなたの学校のICT教育を次のステップに進めるための、何らかのヒントになれば幸いです。

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かおる先生
かおる先生
小学校教諭
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。 「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。
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