【国語科で育む情報活用能力】情報を読み解き、表現する力の育成
はじめに:なぜ今、国語でICT活用が重要なのか?
こんにちは! 国語という教科は、すべての学習の土台となる「言語能力」を育む、まさに学びの中心です。しかし、AI技術が進化し、情報が洪水のようにあふれる現代社会では、もう一つ欠かせない能力があります。それが「情報活用能力」です。
「情報を正しく読み解き、使いこなす力」と「言葉を操る力」——この二つは決して別々のものではありません。むしろ、密接に絡み合い、これからの予測困難な社会を生き抜く子どもたちの土台となります。
国語科は、この「言語能力」の育成を通して、子どもたちが情報を適切に扱えるようになるための重要な役割を担っているのです。
1. 「情報活用能力」とは、生きる力そのもの
私たちが情報活用能力を重視する理由。それは、「情報を正しく理解し、自分の考えをまとめ、そして他者と協力して新しい価値を生み出す」という、社会で生きていく上で不可欠なプロセスすべてに関わるからです。
単にパソコンの操作ができるというだけではありません。
- コンピュータの基本操作
- 情報を整理し、筋道を立てて考えるプログラミング的思考
- インターネットを安全かつ適切に使うための情報モラル(正しい使い方)や情報セキュリティ
これらすべてが「情報活用能力」に含まれます。
国語科は、この土台の上に、「言葉によって情報を正確に扱う」スキルを上乗せしていきます。学校全体でICT環境を整え、すべての教科でこの力を伸ばしていくことが、現代の教育には強く求められているのです。
2. 国語で学ぶ「情報の扱い方」の核心
情報化社会に対応するため、国語の授業で特に焦点が当てられるようになったのが「情報の扱い方に関する事項」です。これは、文章や人の話に含まれる情報を深く読み解き、それを正確に表現する力を養うための学びです。
A. 情報と情報の「関係性」を捉える力
文章を深く理解するには、単語や文を読むだけでなく、「情報と情報がどう繋がっているか」という関係性を捉えることが重要です。
- 低学年:「事柄の順番」「同じ点・違う点」など、身近で単純な関係からスタートします。
- 中学年:より複雑な「意見と理由・具体例」「中心となる事柄」など、論理的なつながりを学びます。
- 高学年:さらに発展し、「原因と結果」など、因果関係を正確に読み解く力を身につけます。

B. 情報を「整理・活用」する力
集めた情報を使いこなすには、「整理する力」が不可欠です。
- 比較・分類の仕方を学び、情報が何を意味しているのか明確にします。
- メモの取り方を習得し、必要な情報だけを効率よく抽出します。
- 特に重要性が増しているのが、引用のルールと出典の示し方です。著作権や情報モラルを守りながら、他者の情報を適切に活用する習慣を育てます。
高学年では、情報同士を図や表で関連付け、視覚的に分かりやすく表現する方法も学びます。

3. 国語の授業におけるICTの具体的な活用術
では、実際の国語の授業でICTはどのように活躍するのでしょうか。
📌 調べる活動を深化させる
- 情報収集と発表: インターネットや電子辞書、学校図書館の検索システムなどを使い、必要な情報を効率よく集め、それを活用して発表資料を作成します。
- 「調べる習慣」の定着: 電子辞書や電子事典を活用することで、言葉の意味や使い方をすぐに調べ、学習を深める習慣をつけます。
📌 書く・表現する活動を豊かにする
- 表現の工夫: レポートや意見文を作成する際、図表やグラフをコンピュータで挿入し、自分の考えをより分かりやすく、説得力のある形で表現します。
- 引用・出典の明記: 文章や図表を引用する際には、必ず出典を明記する作業を実践し、情報モラルを体感しながら学びます。
- プレゼンテーション: コンピュータで発表資料を作成し、プロジェクターなどで効果的に提示することで、伝わる表現力を高めます。
📌 その他、学びの質を高める活用
- キーボード入力の基礎: 3年生で習うローマ字は、キーボード入力の基礎です。学習の中で、実際に端末を操作する機会を持つことは、実用的なスキルへと繋がります。
- 話し方・聞き方の改善: 発表や話し合いの様子をタブレットで録画し、それを客観的に振り返ることで、自分の話し方や聞き方を具体的に改善していくことができます。
国語の授業におけるICTの具体的な活用術
ここでは、言語活動の具体的な場面ごとに、ICTをどう活用し、能力を伸ばすかを見ていきましょう。
段階1:情報収集・比較・吟味の活動
| 場面 | 活用例(ツール例) | 期待される能力 |
| 情報の多角的収集 | インターネット、電子図書館、デジタルアーカイブなどを活用し、紙媒体だけでは得られない多様な情報を収集する。 | 収集力、情報源の多様性を理解する力 |
| 情報の吟味・比較 | 複数の検索エンジンや情報源で同じ事柄を検索し、情報の偏りや信憑性の違いを比較検証する。 | 批判的思考力、信憑性を見極める力 |
| 語彙・知識の定着 | 電子辞書やオンライン辞書のハイパーリンク機能(関連語へ飛ぶ機能)を使い、単語や知識を深く、多角的に関連付けながら調べる習慣をつける。 | 知識の拡張、自主学習の習慣化 |
段階2:思考の可視化・整理の活動
| 場面 | 活用例(ツール例) | 期待される能力 |
| 思考の整理 | タブレット上で思考ツール(キャンディチャート、フィッシュボーン、KJ法など)を活用し、自分の考えや集めた情報を視覚的に分類・関連付ける。 | 論理的思考力、情報の構造化能力 |
| 共同での情報整理 | 共同編集機能を使ってグループで付箋(ふせん)アプリなどを利用し、意見やアイデアをリアルタイムで出し合い、分類する。 | 協働的な学び、多様な視点の取り込み |
段階3:表現・発表・振り返りの活動
| 場面 | 活用例(ツール例) | 期待される能力 |
| 文章作成・推敲 | 文章作成ソフトのコメント機能や共同編集機能を活用し、読み手(教師や友人)のフィードバックを受けながら、論理的な修正(推敲)を行う。 | 表現の改善力、他者意識 |
| 効果的な発表 | プレゼンテーションソフトで、図表やグラフ、画像、動画を効果的に組み込み、視覚に訴える伝達力を高める。 | プレゼンテーション能力、メディアリテラシー |
| 話し合いの振り返り | 発表や話し合いの様子を録画・録音し、客観的に自分の話し方、聞き方を分析することで、次の活動に活かす。 | 自己評価力、対話能力 |
| 引用・出典の徹底 | レポート作成時に、引用した文章と出典をハイパーリンクで示したり、適切な書式で明記したりする作業を実践する。 | 情報モラル、知的財産権の理解 |
まとめ:未来を生き抜く力を国語科で
これからのAI時代、情報はますます社会にあふれ、私たちの日常を覆い尽くします。
国語科は、子どもたちが、
- 必要な情報を見極め、膨大な情報の中から正しく理解し、それを再構成して、自分の考えを表現する
という、未来を生きる上で極めて重要な情報活用能力と言語能力を統合した力を育む、まさに要の教科です。
ICTは、その学びを深化させるための強力なツールです。これからも国語科の授業を通して、子どもたちが情報社会をたくましく生き抜くための力を丁寧に育んでいきましょう。




