【教育現場で話題】Apple Teacherとは?教員のICTスキルを高める認定プログラム活用法

近年、学校でのICT活用が進む中で、先生自身のデジタルスキル向上が喫緊の課題となっています。そんな中、教育現場でApple製品を効果的に使いこなすための強力なサポートプログラムがあります。それが「Apple Teacher」です。
Apple Teacherは、単なるスキルの習得にとどまらず、教師の専門能力開発と生徒の学習体験の革新を促す「学びの変革」への一歩と位置づけられています。
この記事では、Apple Teacherプログラムの全貌、その種類と難易度、そして教育現場でApple製品がどのように活用され、教師と生徒にどのような利点をもたらすのかを、詳細に解説します。
Apple Teacherプログラムとは?概要と認定の流れ
Apple Teacherは、教育にApple製品を取り入れている教育者を支援し、その成果を称えるための無料のプロフェッショナル学習プログラムです。学校のリーダーシップは、このプログラムを通じて、教師が自らのペースでApple製品を学習や指導に活用できるよう支援できます。
Apple Teacherの認定資格には、主に以下の3種類があります。
- Apple Teacher: iPadまたはMac、そして組み込みアプリの基本的な使い方を習得するための基礎資格です。クイズに合格することでバッジを獲得し、iPadまたはMacのいずれか一方で6つの基礎項目(Mac/iPadの基本、Pages、Keynote、Numbers、iMovie、GarageBand)を全て集めると認定されます。クイズは何度でもやり直しができるため、比較的簡単に取得できます。Appleが「Apple Teacherになるのは、楽しくて、簡単なこと」とうたっているように、楽しくクイズに答えて簡単に取れる資格です。
- Apple Teacher Portfolio: Apple Teacher認定後に取得できる上位資格です。Appleのテクノロジーを授業に取り入れた実践を記録し、ポートフォリオとして提出する必要があります。授業の構想、実践、記録、そしてそれをポートフォリオとして整理し、共有する過程が含まれるため、Apple Teacherよりも実践的な取り組みが求められます。
- Apple Teacher Swift Playgrounds: Apple純正のプログラミング学習アプリ「Swift Playgrounds」に関する知識を証明する資格です。Swift Playgroundsに関するクイズに合格することで認定されます。普段からプログラミングに触れていない人にとっては、いきなり合格するのは少し難しいかもしれませんが、クイズで間違えた部分から学習を進めることも可能です。
これらの認定資格は、Apple製品の基本的な操作から、それらを活用した革新的な授業実践、さらにはプログラミング教育への応用まで、教師のスキルアップとICT教育の推進に段階的に貢献するように設計されています。
より詳しく!
1. Apple Teacher
概要: Apple Teacherは、日々の授業や自身のスキルアップにApple製品を取り入れている教師をサポートし、その成果を称えるための無料のラーニングプログラムです。教育にApple製品を用いている人をサポートするための無料ラーニングプログラムであり、「指導と学習にApple製品を組み込んでいる教育者のみなさんを支援し、その成果をたたえるための無料のプロフェッショナルラーニングプログラム」とされています。学校のリーダーシップは、教師が学習や教育にApple製品を使用できるよう、無料で自己ペースで学習できるプログラムを提供できます。
取得方法: Apple Teacher Learning Centerにアクセスし、iPadまたはMacのいずれかを選択して学習します。用意されている教材を使って学習し、クイズに合格することでバッジを獲得できます。MacまたはiPadのいずれかで**6つの基礎項目(Mac/iPadの基本、Pages、Keynote、Numbers、iMovie、GarageBand)**それぞれでクイズに合格し、合計6つのバッジを全て集めると認定されます。クイズは各項目5問で、4問以上の正解が必要です。
難易度: この資格は、誰でもなれるとされており、比較的簡単に取得できます。クイズは何回でも間違えてもよく、4問正解するまで何度でもやり直せるため、時間さえあれば誰でも獲得可能です。同じ問題が重複して出てくることもあり、運に左右されることもありますが、普段からApple製品を使っている人であれば、教材がなくても答えられる可能性があるほどです。筆者によっては、15分程度で1つの項目をクリアできる、あるいは1時間もかからずに全てのクイズに合格したと述べています。 Appleが「Apple Teacherになるのは、楽しくて、簡単なこと」とうたっているように、楽しくクイズに答えて簡単に取れる資格です。ただし、これはあくまでスタートラインに立つきっかけの資格であり、実践力や応用力の証明ではないとされています。
得られるもの: 認定されると、ウェブサイトや名刺、プレゼン資料などに使える公式のApple Teacherロゴ(シグネチャー)16時間の専門能力開発時間として認定することもできます。これは、各バッジの取得に2時間、iPadまたはMacのいずれかのパスで8つのバッジを完了するのに必要な時間を基に計算されています。
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2. Apple Teacher Portfolio
概要: Apple Teacher認定後に取得できる上位資格です。Appleのテクノロジーを毎日の授業に取り入れ、生徒の学びを一層深めるための実践を支援するものです。
取得方法: Apple製品を用いた授業における**「活用」「追求」「発展」の3つの段階に応じた実践内容をフォームから提出し、それをポートフォリオとして記録・提出する**必要があります。各段階で3つずつ、計9つのバッジを獲得した後、完成したポートフォリオを提出することで認定されます。ポートフォリオのテンプレートはPages形式で提供されています。
難易度: この資格は、3つのApple Teacher認定資格の中で一番大変かもしれないと評価されています。授業の構想、実践、記録、そしてそれをポートフォリオとして整理し、共有する過程が含まれるため、基礎的なクイズに合格するだけの「Apple Teacher」よりも実践的な取り組みが求められます。
得られるもの: 認定されると、Apple Teacher Portfolioのシグネチャーがもらえます。このシグネチャーはロゴの列数(1列/2列)や背景の有無(白字/黒字、背景あり/なし)など、8種類のデザインが豊富に用意されています。また、将来的に上位資格であるApple Distinguished Educator(ADE)を目指す場合、Apple Teacherに認定されていることが前提条件となり、Apple Teacher Portfolio作成時のポートフォリオをADE応募時に提出できるというメリットもあります。
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3. Apple Teacher Swift Playgrounds
概要: 「Swift Playgrounds」アプリを使ったプログラミング学習に関する知識を証明する資格です。Swift Playgroundsは、ゲーム感覚でプログラミングを学べるApple純正の無料アプリです。
取得方法: Apple Teacherと同様に、Swift Playgroundsに関するクイズに合格(5問中4問以上正解)し、以下の4つの項目のバッジを全て集めることで認定されます。
• Swift Playgroundsアプリ
• プログラミング概念
• Swiftコード
• 授業でプログラミングを教える
難易度: 「一度もSwift Playgroundsに触ったことがない人が、いきなり合格するのは少し難しいかもしれない」とされています。ただし、クイズで間違えた部分から学習を進めることも可能であり、Apple Teacherのバッジを獲得した後に利用可能になるリソースです。
得られるもの: 認定されると、Swift PlaygroundsのスキルをアピールするためのApple Teacherロゴ(シグネチャー)が付与されます。こちらも白字と黒字の2種類のデザインが提供されます。
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総括: Apple Teacherの各認定資格は、Apple製品の基本的な操作から、それらを活用した革新的な授業実践、さらにはプログラミング教育への応用まで、教師のスキルアップとICT教育の推進に段階的に貢献するように設計されています。難易度は、基礎的な「Apple Teacher」が最も容易で、実践を伴う「Apple Teacher Portfolio」が最も難易度が高いとされています。
なぜ今、Apple Teacherが注目されているのか?教育現場の変化と背景
Apple Teacherプログラムがこれほど注目されている背景には、日本の教育現場における大きな変化があります。
- GIGAスクール構想による一人一台端末の普及: 2020年以降、全国の小中学校で一人一台のタブレット端末(iPadなど)が整備されました。これにより、子どもたちはデジタルツールを日常的に使うようになり、先生にもICTを使いこなすスキルが求められるようになりました。
- 教員の多忙化解消へのニーズ: 授業準備、採点、保護者対応など、教員の業務は多岐にわたります。Apple Teacherプログラムで得られるICTスキルは、Keynoteを使った魅力的な授業スライドの作成や、Pagesを使ったワークシートの効率的な作成など、教員の業務効率化に直結します。
- 主体的な学びへの転換: 従来の知識伝達型の授業から、子どもたちが自ら課題を発見し、解決していく「主体的・対話的で深い学び」への転換が求められています。Apple製品は、創造性や協働性を育むツールとして、こうした新しい学びの形を支援するのに最適です。
- 教員自身のリフレッシュとスキルアップ: Apple Teacherプログラムは、自分のペースで楽しみながら学べるため、日々の忙しさから離れてリフレッシュする機会にもなります。また、習得したスキルは自身のキャリアアップにも繋がります。
取得方法と学習内容|iPad・Macの活用スキルが身につく
Apple Teacherの認定資格は、Apple Teacher Learning Centerというオンラインプラットフォームで学習・取得できます。
- アカウント作成と学習の開始: Apple IDを使ってLearning Centerにサインアップすると、iPadまたはMacのどちらかのパスを選んで学習を開始します。
- Apple Teacher Starter Guides: Learning Centerには、iPad、Mac、そしてPages、Keynote、Numbers、iMovie、GarageBand、ClipsといったAppleの純正アプリの使い方を学べるガイドが用意されています。これらのガイドは、授業での具体的な活用シーンを想定した内容になっており、実践的な知識を習得できます。
- バッジ獲得と認定: ガイドで学んだ内容のクイズに合格すると、各項目に対応したバッジを獲得できます。MacまたはiPadのいずれかで6つの基礎項目に対応するバッジを全て集めると、Apple Teacherとして認定されます。
実際の教育現場での活用事例(授業・校務・共同作業など)
Apple Teacherプログラムを通じて得たスキルは、授業や校務など、教育現場の様々な場面で活かされています。
- 授業での活用事例:
- Keynote: プレゼンテーションの作成、電子黒板としての活用、ひらがな表の作成、課題の解説など。Keynoteのライブビデオ機能やPagesのメディアプレースホルダなどを活用し、リアルタイムの映像を教材に取り込むことで、よりクリエイティブで表現豊かな学習が可能になります。
- Pages: ワークシートの作成、ニュース原稿の作成、手書きノートの自動テキスト変換、文学作品の表現など。
- Numbers: 実験結果のグラフ作成、共同作業によるデータ整理、数値の入力とリアルタイムでのグラフ変化など。
- iMovie/Clips: 動画編集、文化祭での発表、ブックトレーラーの作成、ニュース番組制作、ダンスビデオ、観察日記の作成、スポーツや活動の振り返りビデオなど。
- GarageBand: 音楽や効果音の作成、音声日記、楽器の音の組み合わせ。
- Swift Playgrounds: ゲーム感覚でプログラミングを学ぶことができます。
- 校務での活用事例:
- Keynote/Pages: PTA資料や研修資料、授業参観のスライドなど、見やすく分かりやすい資料を効率的に作成できます。
- メモ/ファイルアプリ: プリントのデジタル化、手書きノートの読みやすくする自動補正など。
- AirDrop: 教材や作品のスムーズな共有、共同作業の効率化。
- スクリーンタイム: iPadの使用状況の確認と制限設定。
- 翻訳アプリ: 外国語ウェブサイトの日本語翻訳など、グローバルな情報へのアクセスを支援します。
- 共同作業での活用事例:
- Freeform/Numbers: アイデアのブレインストーミングや整理、共同作業。Numbersの共同作業機能などにより、クラス全体で意見を共有し、協力して課題に取り組む機会が増えます。
- Split View: 複数のアプリ画面を並べて効率的に作業。
Apple Teacherを通じて得られるメリットと周囲への波及効果
Apple Teacher認定は、単なる個人のスキルの証明にとどまらず、学校全体に良い影響をもたらします。
- 教師の自信とモチベーション向上: 認定されると、ウェブサイトや名刺、プレゼン資料などに使える公式のApple Teacherロゴが付与されます。また、上位資格であるApple Teacher PortfolioやApple Distinguished Educator (ADE) などの道も開け、キャリアアップのきっかけにもなります。
- 生徒の学習意欲と創造性: iPadやApple製アプリは、生徒が自分らしく表現し、主体的に学ぶための強力なツールとなります。特に、絵や文章での表現が苦手な生徒も、多様な入力方法や表現手段が増えることで自信を持ち、学習意欲を高めることができます。
- 教員間の学び合いとチームワーク: Apple Teacher認定を受けた教員が、他の教員のメンターとなり、励ましやサポートを提供することで、学校全体でICT活用を加速できます。教員間のチャットツール導入など、学校全体のICT環境整備も教師の効率化に貢献します。
- 保護者への信頼: 教員が積極的にICT活用に取り組んでいることを保護者に伝えることで、学校への信頼感が高まります。
まとめ|Apple Teacher認定が“先生の自信”と“授業の質”を変える
Apple Teacherプログラムは、教師の専門能力開発とICT教育の推進に多方面から貢献します。
このプログラムは、教師が自信を持ってApple製品を授業に活用できるよう支援することで、学校全体のICT教育の推進に貢献します。
Appleは、テクノロジーの統合が「スキルの獲得から革新的な指導に至る長い道のり」であると考えており、Apple Teacherはその道のりの出発点であると位置づけています。
このプログラムを通じて、教師はiPadやMacを授業で効果的に使いこなすためのスキルとノウハウを習得できます。そして、その結果、生徒は創造性や自己表現の機会が増え、主体的で協働的な学びが促進されます。
Apple Teacher認定は、教師の自信を高め、授業の質を変え、学校教育全体をより良いものへと変えていく「学びの変革」への一歩となります。

