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【教育ICT】Apple Teacher Portfolioの全貌と活用ガイド|作成のコツも紹介

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Apple Teacherの認定資格は、Apple製品を教育現場で効果的に使いこなすための第一歩です。しかし、その先に、もう一歩踏み込んだ「学びの実践」を証明する、上位資格があることをご存知でしょうか?

それが「Apple Teacher Portfolio」です。

Apple Teacher Portfolioは、単にApple製品の操作スキルを示すだけでなく、それらを活用した授業が子どもたちの学びにどのような影響を与えたかを記録し、深く振り返るための素晴らしい方法です。

この記事では、Apple Teacher Portfolioの全貌、その認定の目的、そして「活用」「追及」「発展」の3つの段階に沿った作成方法について、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。あなたの教育実践を、形に残す旅に出かけませんか?

Apple Teacher Portfolioとは?概要と取得の利点

Apple Teacher Portfolioは、Apple Education Communityを通じて取得できる新しい認定バッジです。これは、教師がiPadやMacのスキルを教育現場でどのように活用し、どのような影響を与えているかを具体的に記録し、示すためのツールとして位置づけられています。

概要と目的

  • 学びの変革への一歩: このプログラムは、教師が自らのペースでApple製品を学習や指導に活用できるよう支援し、教師の専門能力開発と生徒の学習体験の革新を促す「学びの変革」への一歩とされています。
  • 振り返りのプラットフォーム: D.C. Everest Area School Districtの技術統合スペシャリストであるFelecity Treptow氏は、「Apple Teacher Portfolioは、教育関係者に適切な質問を投げかけ、有意義な方法で自分の仕事について振り返るためのプラットフォームを提供します」と述べています。これは、教師が作成した仕事に誇りを持ち、具体的な成果物を通じて学習の道のりを確認できるツールであることを示しています。
  • 上位資格への道: Apple Teacher Portfolioは、3種類のApple Teacher認定資格の中で「一番大変かもしれない」と評価されており、実践的な取り組みが求められます。しかし、その分、認定されると公式ロゴが付与され、将来的にApple Distinguished Educator (ADE) を目指す上での前提条件となり、応募時にポートフォリオを提出できるという大きなメリットがあります。

活用、追及、発展の3つの段階:ポートフォリオの作成ガイド

Apple Teacher Portfolioは、「活用 (Activate)」「追及 (Explore)」「発展 (Apply)」という3つの段階を通して、Apple製品を活用した授業実践を記録し、提出するためのものです。各段階で3つずつ、合計9つの異なる授業実践をポートフォリオに含める必要があります。

1. 活用 (Activate):新しいアイデアを「活用」させる段階

  • 目的: この段階では、新しいアイデアを生徒に「活用」させることに焦点を当てます。
  • 内容: Keynoteで動物の生息地の地図を作成する授業、GarageBandで地球温暖化に関するチャントを作成する授業など、Apple製品を使った新しい活動を実践し、記録します。
  • 書き方: ポートフォリオでは、各授業について、何を達成しようとしたのか、生徒の学習目標は何だったのかを記述します。そして、その実践が学習にどのような影響を与えたかを「Reflection(振り返り)」として含めることが重要です。

2. 追及 (Explore):生徒が新しい機会を「追及」する段階

  • 目的: この段階では、生徒が新しい機会を「追及」し、理解を深めることを目指します。
  • 内容: GarageBandでドラムパターンを作成しリズムを学ぶ授業、Keynote/Pagesで火山のライフサイクルを描く漫画を作成する授業など、生徒が自らテクノロジーを使って内容を「追及」する実践を記録します。
  • 書き方: 教師が、生徒にどのようなことを期待したか、そしてその実践が学習に与えた影響についての振り返りを記述します。

3. 発展 (Apply):生徒が新しいコンテンツを「発展」させる段階

  • 目的: この段階では、生徒が新しいコンテンツを「発展」させ、プロジェクトを通じて習得し、新しいエキサイティングな方法で活用することを目指します。
  • 内容: KeynoteでアニメーションMemoji GIFを作成し、コーディングの概念を理解する授業、GarageBandでオリジナルの詩の朗読を作成する授業など、生徒が学んだ内容を応用し、創造的に表現する実践を記録します。
  • 書き方: 教師が期待する生徒の応用作品やプロジェクトを示し、それに加えて学習への影響について振り返りを記述します。

ポートフォリオ作成における重要な要素とコツ

Apple Teacher Portfolioの作成には、以下の要素が重要です。

  • テンプレートの活用: テンプレートはPages形式で提供されており、ダウンロードして利用することができます。表紙には自分の名前を入れてパーソナライズすることも可能です。
  • コンテンツ追加の柔軟性: 各ページでは、描画、ビデオ、音声メモ、テキストなど、多様な形式で振り返りを記述できます。これは、生徒が学習内容を表現する際の選択肢をモデル化しているとも言えます。
  • 振り返り (Reflection) の重要性: 各レッスン実践において、最も重要な要素は「振り返り」です。単に活動内容を記録するだけでなく、その活動が生徒の学習にどのような影響を与えたか、**「それでどうなったのか (so what)」**という観点から深く考察し、記述することが求められます。
  • 最良の作品を掲載: ポートフォリオは、各レベルでの「最良の作品 (BEST work)」であるべきであり、試した全ての作品を掲載する必要はありません。常に反復、設計、そして振り返りを続けることが、このプロセスにおいて重要です。

申請方法と認定までの流れ

Apple Teacher Portfolioは、Apple Teacher Learning Centerを通じて、各段階のレッスン実践を個別に提出し、全てのバッジ(合計9つ)を獲得した後、完成したポートフォリオ全体を提出することで認定されます。

このプロセスは、時間をかけて自身の教育を振り返り、iPadの統合が教室での学習にどのような影響を与えたかを熟考する、素晴らしい専門学習の機会であるとされています。

まとめ:Apple Teacher Portfolioは「学びの変革」への確かな一歩

Apple Teacher Portfolioは、基礎的なクイズに合格するだけの「Apple Teacher」とは異なり、授業の構想、実践、記録、そして振り返りという、より実践的な取り組みを伴う認定資格です。

  • 教師の専門能力開発: 自身の教育実践を深く振り返り、授業の質を向上させる機会となります。
  • 生徒の学びの深化: Apple製品を効果的に活用することで、生徒の創造性や表現力を引き出し、主体的で協働的な学びを促します。
  • 上位資格への道: Apple Distinguished Educator (ADE) を目指す上での前提条件となり、キャリアアップにも繋がります。

Apple Teacher Portfolioは、単なる認定資格ではなく、教員の自信を高め、授業の質を変え、学校教育全体をより良いものへと変えていく「学びの変革」への確かな一歩となるでしょう。

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かおる先生
かおる先生
小学校教諭
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。 「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。
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