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【読書の秋】子どもが本好きになる!家庭でできる環境づくり&きっかけ作り

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「うちの子、なかなか本を読まなくて…」 「どうすれば本を好きになってくれるんだろう?」

そう悩んでいる先生や保護者の皆さんは多いのではないでしょうか。

読書は、子どもたちの言葉の力や想像力、共感力を育む上で非常に重要です。しかし、「読まなければいけない」という義務感は、子どもを本嫌いにしてしまうこともあります。大切なのは、読書を「楽しい体験」として認識させることです。

この記事では、子どもが自然と本に手を伸ばし、読書の楽しさに目覚めるための「魔法の環境づくり」と「きっかけ作り」について、具体的なアプローチをご紹介します。

読書習慣を育むための「家庭」での基盤づくり

子どもが読書を好きになるには、まず家庭での環境が不可欠です。親の関わり方、本の選び方、そして家庭内の環境整備が、子どもたちの読書に対する初期の認識を大きく左右します。

1. 親の関わり方が鍵となる

親の行動は、子どもにとって最大の模範です。子どもは親の言動を驚くほどよく観察し、真似をします。

  • 親自身が読書を楽しむ姿を見せる: 親が楽しそうに本を読んでいる姿は、子どもにとって「本は面白いものだ」という興味を持つきっかけになります。子どもが読書をしている時だけでなく、親の読書時間中も一緒に本を開く習慣をつけることで、読書は日常の一部であるという意識を自然に育むことができます。
  • 読み聞かせの力を最大限に活用する: 読み聞かせは、単に物語を伝えるだけでなく、親子の信頼関係を深めるかけがえのない時間です。幼少期からの読み聞かせは、耳で聞いたものを頭でイメージする力を育み、将来自分で本を読むようになった際に読書をスムーズに楽しめるようになります。年齢を問わず、子どもが望む限り続けて良いとされています。声の大きさや高さを少し変える程度に留めるなど、読み聞かせの方法を工夫することで、子どもを物語の世界に引き込むことができます。
  • ポジティブな言葉で読書を肯定する: 子どもが本を選んだり、少しでも読んだり、本について話したりした際には、積極的に褒めましょう。読書は思考力や集中力を鍛え、知識や感情表現の幅を広げる生産的な活動です。「読書家だね」といった言葉は、子どもに「自分は本が好きな人間なんだ」という自己肯定感を与え、読書への意欲を高めます。
  • 親子で本について語り合う: 同じ物語を読み、感想や考えを話し合うことは、親子の会話を豊かにします。国語のテストのように正解を求めるのではなく、子どもの意見を尊重し、対話を楽しみましょう。これにより、読書はより深いコミュニケーションツールへと変わります。

2. 子どもの「読みたい!」を引き出す本の選び方

子どもが自ら進んで読書をするようになるには、本の選び方が非常に重要です。

ポイント具体的な選び方と理由
興味・関心子どもが好きなキャラクターや絵、興味を引くテーマを最優先する。読書を「楽しい」と感じる経験が、次の読書につながる。ファンタジーより身近なテーマの本の方が感想を書きやすい場合もある。
年齢・発達段階難しすぎる本は読書嫌いの原因となるため、内容や漢字の多さ、文章の長さなど、子どもの読書レベルに合った本を選ぶ。読書教育サービス「Yondemy」の「Yondemyレベル」のような指標も有効。
ジャンルの多様性小説だけでなく、絵本、図鑑、辞書、ノンフィクションなど、様々なジャンルに触れる機会を作る。これにより、本の世界の広さを知り、新たな興味を発見できる。
「つまみ食い読書」何冊かの本の最初の数ページを少しずつ読んで、一番続きを読みたい本を選ぶ方法。読みたい本を見つけやすくする効果がある。
「パンダ読み」難しい本と簡単な本を交互に読む方法。読書への負担を軽減し、継続を助ける。

子どもが読書を好きになるための5つのコツ

子どもたちが読書を好きになるためには、家庭での環境作りと、読書を楽しい体験として認識させるためのきっかけ作りが効果的です。

1. 親の関わり方

親が読書をする姿は、子どもが本に興味を持つきっかけになります。子どもは親の言動をよく見て真似するため、親が楽しそうに本を読んでいると、子どもも「本は面白いものかも」と感じやすくなります。

  • 読み聞かせをたっぷり行う: 幼少期からの読み聞かせは、耳で聞いたものを頭でイメージする力を育み、後に自分で本を読むようになった際にスムーズに読書好きになりやすい傾向があります。読み聞かせに年齢制限はなく、子どもが望むなら何歳になっても続けて良いとされています。
  • 読書を褒め、肯定的な声かけをする: 子どもが本を選んだり、少しでも読んだり、本について話したりしたときに褒めることは重要です。読書は思考力や集中力を鍛える生産的な活動であり、褒められることで子どもは「良い行動だ」と感じ、読書を続けようとします。
  • 親子で本について話し合う: 同じ物語を読んで感情を共感したり、感想を話し合ったりすることで、親子の会話がさらに楽しくなります。子どもが読んだ本の内容を質問してみるのも有効ですが、国語のテストのように叱るのではなく、子どもの意見を認め、次の読書を促す姿勢が大切です。

2. 本の選び方

読書を楽しいと思ってもらうためには、内容が難しすぎず、興味を持てる本を選ぶ必要があります。

  • 子どもの興味・関心に合った本を選ぶ: 子ども自身が「読みたい!」と思う本を選ぶことが最も重要です。好きなキャラクターもの、かわいい絵、興味を引く内容など、子どもの希望を優先しましょう。
  • ジャンルの多様性: 小説だけでなく、絵本、図鑑、辞書、ノンフィクション、迷路の本など、様々なジャンルの本に触れることで、本の世界の広さを示すことができます。
  • 「つまみ食い読書」や「パンダ読み」: 何冊かの本の最初の数ページを少しずつ読んでみて、一番続きを読みたいと思った本を選ぶ「つまみ食い読書」は、最初の1冊を見つけやすくします。また、難しい本と簡単な本を交互に読む「パンダ読み」は、読書レベルの調整を助けます。
  • 映画やアニメの原作から入る: 馴染みのあるストーリーの原作本を読むことで、映像で見た世界を文字で再確認する楽しさを感じてもらえます。

3. 読書環境の整備

子どもが自然と本を手に取れるよう、本が身近にある環境を作りましょう。

  • 本が身近にある環境: 子どもが自然と本を手に取れるよう、目に入りやすい場所や、すぐに手に取れる場所に本を置くことが理想です。リビングのテーブルやラックに親が読んでいる本をさりげなく置いておくのも良い方法です。
  • 絵本用の本棚を工夫する: お気に入りのおもちゃの近くに本棚を設置したり、可愛い表紙や楽しい表紙が見えるように本を並べたりすることで、子どもが本に近寄って手に取る頻度が高まります。
  • 図書館や書店への訪問を習慣化する: 子どもが小さいうちから図書館に行くことを家族の習慣にするのが一番です。図書館に乗り気でない場合は、帰りにアイスを食べたり公園に寄ったりするなど、子どもが喜ぶオプションイベントをつけることで、図書館に楽しい印象を持たせやすくなります。
  • 誘惑の少ない環境: テレビ、スマートフォン、ゲームなどの「お手軽な娯楽」が目の前にない環境は、読書習慣を身につける上で望ましいとされています。

4. 読書を楽しい体験にする工夫

読書のハードルを低く設定し、読書そのものを楽しい体験として認識させましょう。

  • 読書のハードルを下げる: 「本を開けばOK」「少しでも読めばOK」というように、読書のハードルを低く設定することが重要です。
  • 「読書をしていない時間」も「読書体験」と捉える: 本を読んでいる時間だけでなく、本について話している時間、どの本を読もうか考えている時間なども「読書体験」です。
  • 目標設定と達成感を味わわせる: 子ども自身が「1週間に1冊読む」など、具体的な目標を立てることがモチベーションに繋がります。目標達成をカレンダーに記録するなど、進捗を見える化することで、ゲーム感覚で楽しめます。

小学生向けの児童書のジャンルとおすすめ

小学生向けの児童書には多岐にわたるジャンルがあり、年齢別におすすめの活動や本があります。

  • 乳幼児期(0~6歳頃):
    • 読み聞かせ: 親子の信頼関係を深め、心と能力を育むことができます。
    • おすすめ絵本: 『ぐりとぐら』『だるまちゃんとてんぐちゃん』『つるのおんがえし』『かいじゅうたちのいるところ』など。
  • 小学校低学年(1~4年生頃):
    • 読書の記録: 目標を数字で明確にし、カレンダーに丸をつけるなどして進捗を見える化することで、達成感を味わい、読書への自信につなげることができます。
    • おすすめ本: 『大ピンチずかん』、『パンどろぼう』、『おしりたんてい』シリーズ、『モモ』、『魔女の宅急便』など。
  • 小学校中学年(4年生):
    • 少し複雑なストーリーや長い本に挑戦: 探偵ものや科学系の本など、知的好奇心を刺激する本がおすすめです。
    • おすすめ本: 『放課後ミステリクラブ』、『つかめ!理科ダマン』、『テーマパークのサバイバル』、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』など。
  • 小学校高学年(5~6年生頃):
    • 自分の人生を考えるためのヒントを与えてくれる本: ショートエッセイや歴史小説など、少し哲学的な内容の本にも挑戦する良い時期です。
    • おすすめ本: 星新一の『きまぐれロボット』、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、重松清の『小学5年生』、あさのあつこの『バッテリー』、ミヒャエル・エンデの『モモ』など。

小学生向けのおすすめ児童書ガイド

小学生向けの児童書は、子どもの成長段階や興味に合わせて多岐にわたります。ここでは、年齢別の本の選び方とおすすめの本を紹介します。

低学年(1~2年生)向け

この時期は、読書の楽しさを知ることが何より大切です。絵本から児童書へスムーズに移行できるよう、短く読みやすい本や言葉遊びの絵本がおすすめです。

  • 選び方のポイント:
    • 文字数が少なく、内容がシンプルなものから始める。
    • ユーモアあふれる絵本や物語は、読書の楽しさをダイレクトに伝える。
    • シリーズものは、読書習慣の定着に役立つ。
  • おすすめのジャンルと作品:
    • ユーモア/定番シリーズ: 『大ピンチずかん』、『おしりたんてい』シリーズ、『かいけつゾロリ』シリーズ、『パンどろぼう』
    • 心に残る物語: 『スーホの白い馬』、『ごんぎつね』、『100万回生きたねこ』
    • 冒険/ファンタジー: 『エルマーのぼうけん』、『おしいれのぼうけん』
    • 知識・学習系: 『ざんねんないきもの事典』

中学年(3~4年生)向け

この時期になると、少し複雑なストーリーや長い本にも挑戦できるようになります。想像力を豊かにするファンタジーや、知的好奇心を刺激するノンフィクションもおすすめです。

  • 選び方のポイント:
    • 少し長い物語に挑戦させる。
    • 幅広いジャンルの本に触れさせ、興味の幅を広げる。
    • 読書感想文の下準備として、あらすじや構成を考えさせる練習を取り入れる。
  • おすすめのジャンルと作品:
    • ミステリー: 『放課後ミステリクラブ』、『暗号クラブ』
    • 知識・学習系: 『つかめ!理科ダマン』、『こども六法』
    • シリーズもの: 『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』
    • 人間関係/生活: 『図書委員は泣かない』

高学年(5~6年生)向け

この時期は、本から人生のヒントを得たり、著者のメッセージを読み解く力が育まれます。長編小説やショートエッセイなど、読書の幅を広げる良い機会です。

  • 選び方のポイント:
    • テーマが複雑な本、人間関係を深く描いた本に挑戦させる。
    • 長編シリーズを読み始めたら、温かく見守る。
    • 多様な作家やジャンルに触れさせる。
  • おすすめのジャンルと作品:
    • 定番の名作: 『モモ』、『銀河鉄道の夜』
    • 人間関係/生活: 『バッテリー』、『小学5年生』
    • 知識・学習系: 『なぜ僕らは働くのか』、『宇宙への秘密の鍵』
    • ショートショート: 星新一の『きまぐれロボット』

小学校の取り組み:読書を促す環境づくり

小学校では、子どもたちが読書を好きになるための様々な取り組みが行われています。

  • 読み聞かせ活動の実施: 先生や図書ボランティアによる読み聞かせは、子どもと本を結びつける重要な手段です。
  • 学校図書館の活動の促進: 図書委員や子ども図書、読書コンシェルジュの活動に参加することは、子どもの読書量の多さと関連していると報告されています。
  • 読書感想文に代わる新しい取り組み: 読書感想文は、子どもの多くが苦手意識を持つ宿題の一つです。近年では、読書ジャーナル、キャラクターインタビュー、読書ディスカッション、クリエイティブプロジェクトなど、子どもたちの創造力や思考力を引き出すための様々な宿題が提案されています。

読書習慣を育むための「その他」の工夫

家庭や学校での取り組みに加えて、テクノロジーや外部サービスを活用することも、子どもたちの読書意欲を育む上で効果的です。

  • 読書記録アプリの活用: 読んだ本を記録できるアプリを活用すれば、子どもたちはゲーム感覚で読書の進捗を管理できます。目標冊数を達成するごとにシールを貼るなど、記録を見える化することで、達成感が自信につながります。
  • 図書館や書店への訪問を習慣化する: 図書館や書店は、様々な本との出会いの場です。定期的な訪問を家族の習慣にすることで、子どもたちは自然と本に囲まれた環境に親しむことができます。
  • 誘惑の少ない環境づくり: テレビ、スマートフォン、ゲームなどの「お手軽な娯楽」は、読書習慣を阻害する可能性があります。これらを完全に排除するのが難しくても、読書時間中は親も控えるなど、子どもが読書に集中できる環境を整えることが大切です。
  • 読書習慣形成の「ゴールデンタイム」: 子どもを本好きに育てる最適な時期は、小学校1年生から4年生までと言われています。この時期を逃さず、明確な方針を持って行動することが重要です。

読書習慣を育むための「学校」での取り組み

子どもたちの読書習慣は、家庭だけでなく、学校の取り組みによっても大きく左右されます。教育関係者の皆様には、以下の点を参考に、読書を「楽しい学び」として位置づけるための環境づくりと工夫をお願いしたいです。

1. 読書環境の整備と提供

学校図書館は、子どもたちにとっての宝の山です。その活動をより活発にすることで、子どもと本との出会いを増やすことができます。

  • 学校図書館の活動促進: 図書委員や読書コンシェルジュの活動は、子どもの読書量と関連があることが報告されています。子どもたちが主体的に関わる場を提供することで、読書への愛着を育むことができます。また、学級文庫を充実させることで、クラスメイトと本について語り合うきっかけを増やしましょう。
  • 読み聞かせ活動の実施: 小学校低学年の子どもたちは、自分で字を読むことに苦労することがあります。大人が読み聞かせをすることで、文字を読む労力から解放され、純粋に物語を楽しむことができます。読み聞かせに適したブックリストを参考に、子どもたちが本に親しむ時間を定期的に設けましょう。

2. 読書への興味を育むきっかけづくり

子どもが自発的に本を手に取るようになるためには、単に本を並べるだけでなく、読書への興味をかき立てる仕掛けが必要です。

  • 「読まされる本」から「読みたい本」へ: 学校や市の推薦図書は重要ですが、それらを「強制的に読まされる本」と子どもが感じてしまうと、読書嫌いにつながる可能性があります。子どもが自らの興味に基づいて自由に本を選べる機会を増やし、読書のハードルを下げることが重要です。
  • 読書感想文の新しい取り組み: 多くの生徒が苦手意識を持つ読書感想文は、生成AI時代において新たなアプローチが求められています。読書をよりクリエイティブな体験に変えるために、以下の方法を宿題や授業に取り入れてみてはいかがでしょうか。
    • 読書ジャーナル: 読書中の気づきや感情を日々記録させる。
    • キャラクターインタビュー: 本の登場人物になりきって、インタビュー形式で文章を書かせる。
    • 読書ディスカッション: クラスやグループで本について話し合い、意見を共有する。
    • クリエイティブプロジェクト: 読んだ本をもとに、短編映画や演劇、ポスター、漫画などの二次創作を行う。
    • オルタナティブエンディング: 本の結末を変えたり、続編を考えたりする。

まとめ

子どもを本好きに育てるためのゴールデンタイムは、小学校入学から小学4年生の時期であるとされています。この時期を逃さずに、明確な方針を持って行動することが重要です。

親御さんが本に親しみ、読み聞かせや読書を続けること。そして、読書を「楽しいこと」だと感じさせてあげること。

この記事で紹介した様々なヒントを参考に、お子さんにぴったりの一冊を見つけて、親子で読書を楽しんでいただければ幸いです。

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かおる先生
かおる先生
小学校教諭
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。 「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。
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