授業案

【小学生向け】動画編集を体験しよう!ICTを使った表現授業のすすめ

kaorusensei06

● 生徒観・実態

本学級の児童は、ICT機器の操作には一定の慣れがあり、日常的にタブレット端末を用いた学習にも取り組んでいる。動画視聴や簡単な画像編集の経験がある児童もいるが、動画編集のプロセス(企画→撮影→編集→発表)を体系的に学んだ経験は少ない。自分の考えや経験を他者に伝える力に個人差が見られるため、ペアやグループでの協働活動を通して、相互に学び合う場を設けることが重要である。


● 単元名

「動画編集を通して学ぶデジタル表現とネットモラル」


● 単元設定の理由

【教材観】

動画編集という活動を通じて、児童が自分の考えや体験を映像で表現する力を育成できる。フリー素材や商標の取り扱い、インターネット上での情報発信におけるマナーや危機回避能力も含め、デジタル社会を生きる上で必要な知識・技能を総合的に学べる単元である。

【生徒観】

多くの児童は、日常的にYouTubeやSNSを利用しており、動画コンテンツへの関心が高い。その反面、著作権やネットリテラシーについての理解は浅く、ネット上の行動に対する判断力や自衛意識の育成が求められる。

【指導観】

ペア・グループ活動を基本としながら、編集ツールの使い方や構成の考え方を段階的に指導する。また、個々の表現力を伸ばすため、発表とフィードバックの時間を取り入れ、他者の視点から学ぶ機会を設ける。


● 単元の目標(3観点)

  • 【知識・技能】
     動画の構成や編集技術について理解し、基本的な操作ができる。
  • 【思考力・判断力・表現力等】
     自分の伝えたいことを明確にし、映像を通して適切に表現している。
  • 【学びに向かう力・人間性等】
     グループで協力しながら活動に粘り強く取り組み、ネット上でのマナーや安全に配慮しようとしている。

● 単元の評価規準

観点評価規準
知識・技能編集ツールの基本操作や素材の適切な使い方を理解し、使えている。
思考・判断・表現撮影から編集までの流れを考え、自分なりに構成し表現している。
主体的に学習に取り組む態度仲間と協力しながら主体的に活動に取り組み、ネットモラルを意識している。

● 単元指導計画(全5時間)

内容学習活動の概要
1時限目動画編集の基本ツール(iMovie/Canva)の操作方法を学ぶ。動画制作の流れを確認する。
2時限目撮影と素材集めグループごとにVlogのテーマを決め、撮影計画を立て実践する。
3時限目編集①撮影した素材をもとに基本的な編集を行う。必要に応じて再撮影も行う。
4時限目編集②仕上げの編集、BGMや字幕の追加、作品の完成を目指す。
5時限目発表とふり返り完成作品を発表し、他グループからのフィードバックを受けてふり返る。

● 準備物

  • タブレットまたはPC(iMovie/Canvaインストール済み)
  • 撮影機材(タブレット・デジカメなど)
  • ワークシート、ふり返りカード
  • プロジェクター、スクリーン

● 配置図(例)

  • グループごとに4人程度の島型配置
  • プロジェクター前方に設置
  • 教師が巡回しやすいように間隔を広くとる

● 板書計画(第1時)

めあて:「動画編集の基本を知り、操作できるようになろう」

1.動画編集ってなんだろう?
2.使うツール(iMovie/Canva)
3.基本の操作をやってみよう
4.今日のふり返り
TVCMで話題のココナラ

■ 第2時(撮影と素材集め)

● 本時の目標

グループでVlogのテーマを決め、撮影計画を立てたうえで、実際に撮影を行うことができる。

時間学習の流れ学習活動教師の活動・留意点評価規準評価方法
5分導入前回のふり返りと本時の流れを確認本時のめあてを提示し、グループでの協力の大切さを伝える意欲的に活動に取り組もうとしている表情・反応の観察
10分展開①グループでVlogのテーマを決める自由に出し合ったアイデアを整理できるよう助言自分の考えを他者と共有しようとしているワークシート記入・話し合いの様子
15分展開②撮影内容を計画し、役割分担を決める計画が具体的になるようにサポート目的に応じて計画を立てている計画書の内容を確認
15分展開③校内または教室内で撮影を行う安全面に配慮しながら巡回し、支援する撮影活動に積極的に取り組んでいる撮影の様子の観察
5分まとめ撮影の進捗や感想を記録するワークシートに記入し、次時に向けて課題を確認学習をふり返って整理しているふり返りの記述内容

■ 第3時(編集①)

● 本時の目標

撮影した素材を選び、適切に並べたりカットしたりするなど、基本的な編集作業を進めることができる。

時間学習の流れ学習活動教師の活動・留意点評価規準評価方法
5分導入前時の内容と今日の目標を確認編集のポイントを簡単に板書して説明自ら編集に取り組もうとしている表情・反応の観察
10分展開①撮影素材の確認と整理どの素材を使うかグループで相談させる適切な素材を選び、構成を考えている話し合い内容・使用素材
25分展開②編集作業(カット・並び替え)を行う基本的操作が困難な児童には個別支援編集ツールを活用して構成している実際の作業を巡視・観察
5分まとめ進捗をふり返り、次回の目標を立てるふり返りカードの記入を促す次にすべきことを考えているふり返りの記述内容

■ 第4時(編集②)

● 本時の目標

BGMや字幕などを適切に追加し、映像作品の完成度を高める編集ができる。

時間学習の流れ学習活動教師の活動・留意点評価規準評価方法
5分導入前回の編集内容を確認し、本時のめあてを共有「完成度を高める」工夫例(字幕・音声)を提示高めたい点に気づいて取り組もうとしている表情・反応の観察
10分展開①必要な素材(音楽・画像)を探すフリー素材の使用規約について再確認する安全に配慮し、素材を選んでいる素材選び・使用法の確認
20分展開②BGM・字幕・効果音などを挿入教員や友達同士で見合いながら意見を出すよう促す表現に工夫を加えて完成を目指している編集画面・作品の内容
10分まとめ作品をグループで視聴し、気づいたことを共有次回の発表に備えて改善点を話し合う他者の視点を活かしてふり返っている発言内容・ふり返りカード

■ 第5時(発表とふり返り)

● 本時の目標

完成した映像作品を発表し、他者の意見を取り入れてふり返ることができる。

時間学習の流れ学習活動教師の活動・留意点評価規準評価方法
5分導入発表の流れとマナーを確認見る側の姿勢や発表のポイントを整理して伝える他者を尊重しようとしている表情・反応の観察
25分展開①映像作品の発表(各グループ)タイマーで発表時間を管理し、補助教員が録画支援伝えたいことを意識して表現している発表内容と児童の反応
10分展開②質問・コメントタイム他グループへ感想を伝える練習と促進他者の作品に関心を持ち、意見を述べているコメント内容の質・量
10分まとめ全体でふり返りを行い、学びをまとめる学んだことや感想を「ふり返りカード」に記入自分の学びを整理し、次に生かそうとしているふり返りカードの内容

備考・留意点(全体)

  • ネットモラル・著作権教育:編集時・素材収集時には繰り返し指導を行い、安全・適切な使い方を重視する。
  • ICT支援:教員1名に加え、ICT支援員または補助教員が巡回し、操作支援やトラブル対応を行う。
  • 協働学習の支援:グループ間での協力を促し、役割分担や対話の質に配慮する。
  • 評価の透明化:ふり返りカードを通じて、学びの定着を見取り、次の課題につなげる。

■ 評価基準の具体例

【① 知識・技能】

  • 編集ソフト(iMovie、Canva)の基本操作ができる(例:カット、音声追加、文字挿入)
  • 使用する画像・音楽素材について著作権・フリー素材のルールを理解し、正しく活用できている

【② 思考・判断・表現】

  • Vlogのテーマや内容が明確で、構成に工夫が見られる
  • 映像や音楽、テロップなどの組み合わせが適切で、伝えたいメッセージが伝わってくる

【③ 主体的に学習に取り組む態度】

  • グループ内で自分の役割を果たし、話し合いに積極的に参加している
  • 発表後のふり返りで、自分の成長や次の課題に気づき、言葉にしている

■ チェック方法・使用例

  • 各項目について、◎(非常に良い)/○(概ね良い)/△(やや不足)/×(未達成)のいずれかで記録
  • 活動中の机間巡視ワークシート・ふり返りカードの記述内容を元に記入
  • 必要に応じて自由記述欄を設け、児童の特徴的な学びや課題をメモできる形式も併用可

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かおる先生
かおる先生
小学校教諭
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。 「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。
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