探究学習,

夏休みの間に先生の勉強!「探究という授業」~小学校における探究学習のヒント

kaorusensei06
かおる先生
かおる先生

この夏休みは、新しい授業のアイデアをじっくり考えたいと思ってるんですけど、なかなかいい案が浮かばなくて

ゆとり先生
ゆとり先生

かおる先生、お疲れ様です。そうですよね。僕も夏休みは授業の準備期間だと思って、いろいろ探しているんですがなかなか

かおる先生
かおる先生

最近よく聞く「探究学習」っていうのが、子どもたちの好奇心を刺激するって聞くんですけど、どう授業に取り入れたらいいか全然わからなくて、これってどうなんですか?

ゆとり先生
ゆとり先生

そうなんですよね。探究学習は、子どもたちが自ら問いを見つける学習プロセスなので、先生は教えるというより、支援する「ファシリテーター」としての役割が重要になると言われています。

かおる先生
かおる先生

ファシリテーターですか……なんだか難しそうですね。でも、子どもたちと一緒に、先生も探究者として学ぶって聞くと、ちょっとワクワクします!

「夏休みの間に、授業の準備や教材研究をじっくり進めたい!」 「でも、どんな授業をすれば、子どもたちの好奇心をもっと引き出せるだろう?」

そう考えている先生も多いのではないでしょうか。

近年、文部科学省が推進する「探究学習」は、子どもたちが自ら問いを見つけ、答えを探していく、これからの時代に求められる学びの形として注目されています。しかし、探究学習をどう授業に取り入れたらいいか悩む先生も少なくありません。

この記事では、夏休みという貴重な時間を活用し、先生自身の探究心を刺激しながら、小学校の授業で探究学習を取り入れるための具体的なヒントをご紹介します。さあ、この夏、先生も一緒に探究の授業を学びませんか?


「探究学習」って何?なぜ小学校で大切なの?

探究学習とは、子どもたちが「問い」を立て、自ら情報を集めて分析し、「答え」を導き出す一連の学習プロセスのことです。これは、知識を「教えられる」のではなく、自ら「獲得する」経験を積むことで、以下のような力を育みます。

  • 課題発見・設定能力: 普段の生活や学習の中から、自分で「なぜ?」「どうして?」という疑問を見つける力です。
  • 思考力・判断力・表現力: 情報を収集・分析し、論理的に考察し、自分の考えを効果的に伝える力です。
  • 情報活用能力・ICTリテラシー: 書籍やインターネット、インタビューなど多様な情報源から情報を収集し、その信頼性を見極めて活用する力です。
  • 協働力(コラボレーション): 他者と意見を交換し、協力しながら課題解決に取り組む力です。
  • 自己管理能力・自律性: 計画を立て、実行し、自己を振り返りながら学びを進める力です。
  • 自己肯定感・達成感: 自分で発見し学ぶことの面白さを実感し、自信を深めることができます。

これらの力は、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)と呼ばれる予測困難な現代を生き抜く上で不可欠な「生きる力」となります。


なぜ日本は探究学習の導入が遅れているのか?その課題と解決策

OECD加盟国38か国中、下位10%に位置するとされる日本の探究学習。その背景には、いくつかの課題とデメリットが指摘されています。

【課題とデメリット】

  1. 生徒の主体性を引き出すのが難しい: 生徒たちは、与えられた問題を解く受動的な学習に慣れており、自ら問題を発見・設定することに不慣れです。また、探究学習が大学受験や進路に直接役立たないと認識されがちで、軽視される傾向があります。
  2. 指導・評価が難しい: 探究学習は生徒一人ひとりの学びが多様であるため、教師には生徒の状況に応じた柔軟な対応や専門外の知識が求められ、指導の難易度が高まります。評価においても、画一的な評価が困難です。
  3. 指導計画の作成・遂行が難しい: 探究学習は教科書通りに進まず、体験学習やグループワーク、外部連携などが多く含まれるため、計画に柔軟性や可変性を確保する必要があります。
  4. 企業や地域連携が困難: 学外の専門家、企業、地域のステークホルダー等と連携することが重要ですが、連携先の探索、協力関係の構築には多くの時間と手間がかかります。
  5. 教員の長時間労働: 探究学習に必要な資料収集や計画作成、生徒のレベルに合わせた指導準備は、教員の負担をさらに大きくします。

【課題に対する解決策】

これらの課題に対して、以下のような解決策が提案されています。

  1. 生徒の主体性引き出しへの解決策:
    • 探究を「自分ごと化」する: 探究の第一人者である市川力氏が提唱する「Feel度Walk」のように、「なんとなく気になったもの」を写真に撮るなど、シンプルな活動から始めます。
    • 探究学習の意義を伝える: 探究的に学ぶ力は、大学や社会に出てから役立つこと、また探究学習の成果が大学入試で評価される機会が増えていることを周知します。
    • 学習段階に応じたテーマ設定: 1年生では取り組みやすいテーマを先生が指定し、学年が上がるにつれて生徒自身がテーマを設定するよう段階的に進めます。
  2. 指導・評価への解決策:
    • 教師の役割を転換する: 教師は「教える」のではなく、生徒から意見を引き出す「コーチング」、生徒と同じ目線で対話を重ねる「メンタリング」、探究学習の進行を促す「ファシリテーション」といった役割を担います。
    • 多様な評価方法を取り入れる: 成果物だけでなく、学びのプロセスを総合的に評価する**「パフォーマンス評価」や、複数の能力・資質を段階的に評価する「ルーブリック評価」が有効です。生徒の学びのプロセスを記録する「ポートフォリオ」や、活動後に振り返りを行う「リフレクション」**も重要です。
  3. 指導計画作成・遂行への解決策:
    • 余裕を持った計画を立てる: 生徒がアクティブラーニングに慣れていない場合、予想以上に時間がかかる可能性があるため、現実的な目標を設定し、柔軟性を持たせた計画を立てることが重要です。
    • 中長期的な視野を持つ: 学年ごとに探究レベルを段階的に深化させるなど、1年や3年といった期間で学習計画を立てます。
  4. 企業や地域連携への解決策:
    • コーディネーターの活用: 外部連携を支援するコーディネーターに依頼することで、連携先の探索や協力関係の構築、進捗管理といった課題を解決できます。
    • 既存のリストを活用する: 文部科学省が提供する、学習活動への支援を行っている府省庁・関係団体のリストなどを活用するのも有効です。
  5. 時間の確保への解決策:
    • 既存の教材やオンライン学習サービスを活用する: 経済産業省が主催するSTEAMライブラリーなど、探究学習に利用できる無料の教材を活用することで、教材作成の手間を大幅に削減できます。

探究学習の成功は、教師の役割と評価方法にかかっている

探究学習の成功には、教師の役割と評価方法が非常に重要な要素となります。

教師の役割の重要性

探究学習において、教師は生徒の学びを支援する「ファシリテーター」としての役割を担います。教師は「先生」という立場ではなく、子どもたちと一緒に夢中になって課題を追い求める「探究する同志」として関わることが成功の鍵となります。

  • 主体性の引き出し: 教師は答えを与えず、「どうしてそう思ったのか?」と問いかけ、生徒の意見や考えを引き出すことに徹します。
  • 多様な指導手法: コーチング、メンタリング、ファシリテーションといった手法を使い分け、生徒の自発的な行動をサポートします。

評価方法の重要性

探究学習の評価は、従来のテストの点数で測ることが難しく、学校現場で難しい課題とされています。しかし、評価は生徒の「学びをより良くする」ためのプロセスであり、単に生徒のスキルを測るためだけのものではありません。

  • 評価の観点の明確化: 探究学習で「どんな力を育むのか」を明確にすることが、評価の観点を決める上で最も重要です。
  • 多角的な評価方法の導入: 最終的な成果物だけでなく、学びのプロセス全体を丁寧に評価することが求められます。
    • ポートフォリオ: 生徒が学習過程で作成したメモや作品を蓄積し、共に振り返ることで、多様な学びの側面を見取ります。
    • ルーブリック: 評価の達成度を示す尺度を明確にした評価基準表です。生徒は自身のパフォーマンスを客観的に把握し、改善点を考えることができます。
    • リフレクション(振り返り): 授業後や学習の節目に行う振り返り活動です。生徒は経験の中から価値ある学びを発見できます。

まとめ:探究学習は、先生の「学び」から始まる

探究学習は、これまでの「詰め込み型・一斉授業」とは一線を画し、「主体的・対話的で深い学び」を実現しようとするものであり、現代社会で必要な能力・資質を育む重要な教育です。

夏休みは、この探究学習をどう授業に組み込むか、じっくりと考える絶好の機会です。先生自身が「探究者」となり、この夏、探究学習を学び、実践してみませんか?

Xからの読者コメントをお待ちしています。
ブログ更新の励みになります!
楽天
ABOUT ME
かおる先生
かおる先生
小学校教諭
大学・大学院では教育や技術について学び、小学校教諭免許に加えて、中学校(技術)および高等学校(情報・工業)の専修免許も取得しました。 「知ることの入り口」に立つ児童たちに、わかりやすく伝えることに大きなやりがいを感じ、現在は小学校の教員として日々子どもたちと向き合っています。またこの場では、日々の教育現場で役立っている業務効率化や時短の工夫、ちょっとした小技に加えて、趣味でもあるガジェットについての話題も交えながら、さまざまな情報をまとめていきたいと考えています。
記事URLをコピーしました